低次元鎖ハロゲン架橋金属錯体における分子設計と次元性制御による新規物性発現
Project/Area Number |
08231233
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 正廣 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (60167707)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | ハロゲン架橋混合原子価錯体 / ソリトンとポーラロン / 三次非線形光学効果 / 電子・格子相互作用 / 電子相関 |
Research Abstract |
...Pd^<II>...(b)というような構造をもっており、一方Ni錯体は電子相関が強いため架橋ハロゲンはズレずに-X-Ni^<III>-X-Ni^<III>-X-(a)、というような構造をもっている。架橋ハロゲンの位置も違い酸化状態も違うものの、これらは同形構造(I222)をもっている。そこでこれら電子状態の違う2種類の素構造の比率を変えた一連の単結晶を合成し、電子格子系と電子相関系の境界領域における新電子相の創製に関する研究を行った。単結晶の伝導度測定の結果、いずれも半導体的挙動を示すが、x=0.5付近の化合物の活性化エネルギーが最も小さくなっている。これはこの付近の混合比で電子格子相互作用と電子相関がお互いに競合し合うことにより最も弱め合ってつり合ってキャリアーができやすいためと思われる。電子状態を見るのは共鳴ラマンスペクトルが有効な手段である。M^<II>-M^<IV>状態ではν(M^<IV>-X)に基づく特有の高次の共鳴ラマンが観測されるが、M^<III>状態では架橋ハロゲンが金属間中央にあるためにラマン禁制であり観測されない。Pdの成分比が0.5以下になると共鳴ラマンは観測されないようになっていることから、これらの化合物中ではPdはPd^<II>-Pd^<IV>状態からPd^<III>状態へ近づいていることが推測される。XPSの測定においてもPdの比率が小さくなるにつれてPd^<II>-Pd^<IV>がPd^<III>に近づいていることがわかる。ESRにおいてもNi^<III>錯体では各Ni^<III>のdz^2のスピン間に架橋ハロゲンを介した非常に強い反強磁性的相互作用が働くため非常にブロードなシグナルを示しているが、Pdに比率が増えるにつれて次第に反磁性のPd^<II>とPd^<IV>によって遮断されるために次第にシャープなシグナルを示している。 このように素構造として電子格子系のPd^<II>-Pd^<IV>と電子相関系のNi^<III>を単結晶中で混合していくと、強い電子相関のためにPd^<II>-Pd^<IV>状態がPd^<III>状態へと変化するという大変興味深い結果を得た。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)