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¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
酢酸の工業的製法としてメタノールのカルボニル化によるモンサント法が知られているが,副原料であるCOや装置腐食性の高いヨウ化物助触媒を必要とし,また触媒金属となるRhが高価という不利がある。一方,Ru(II)-Su(II)の直接結合をもつヘテロバイメタリッククラスターが,メタノールのみを原料として一段で酢酸(または,メタノールとの速いエステル化による酢酸メチル)を生成する特異な反応に触媒活性をもつことが見い出されており,この触媒作用には,Ru(II)に隣接し,ルイス塩基性基質と付加的な相互作用をもち得るSn(II)の重要性が示唆されている。本研究の結果,反応は,(i)律速過程であるメタノール脱水素によるホルムアルデヒドの生成,(ii)ホルムアルデヒド二分子からのメチルホルマト錯体中間体の生成,(iii)同中間体のヒドリドアセタト錯体中間体への異性化,(iv)酢酸の還元的脱離,の経路により進行すると推定された。なお,(iii)の異性化過程は,メチルホルマト錯体中間体からのギ酸メチルの還元的脱離過程と競争的であり,Sn(II)活性中心はメチルホルマト錯体中間体のヒドリドアセタト錯体中間体への異性化を促進すると考えられる。各種のプトモーターを検討したところ,メトキシドイオンおよび二塩化スズのようなルイス酸が有効であることがわかった。それぞれ,律速過程での中間体と考えられるメトキシ配位種の濃度を高める効果,およびルイス酸がRu-Cl(およびRu-SnCl_3)からCl^-を引き抜くことにより空配位座を生じる効果と考えられる。また,活性炭担持金属ルテニウムを四塩化スズにより修飾した固気相不均一触媒では,ギ酸メチルが主生成物となった。
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