Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
人工現実感を効果的に生成するには,受け手でもある生体の特性をよく知る必要がある。本研究では脳磁気などの測定を通じて,3次元的に広がりをもつ外的環境を知覚する脳内過程を調べた。方法としては,空間-時間分解能にすぐれる脳磁気計測を中心に据え,脳波あるいはPETなどからの情報を副次的に利用して脳内活動源位置を推定し,それをMRI画像上に比定した。感覚・弁別・認知活動を対象としてとり上げた。 まず感覚のレベルでは仮現運動の知覚過程をとり上げ,短い時間感覚で呈示される視覚刺激が誘発する脳内過程を調べ,運動感覚がもたらされる場合には刺激呈示後約200msの視覚反応が視覚領内で前方かつ中央寄りに移動することを見出した。これは,外観から刺激が脳内の神経場の中で相互作用をひきおこしていることの反映であると考えられる。 つぎに,知覚が成立した後に弁別を行う過程を,聴覚弁別課題を利用して調べた。具体的には,2種類の純音刺激によるオドボール手続きを用いた。その結果,刺激提示後280〜300msにかけて両上側頭溝に活動があり,300〜400msでは海馬・側頭葉・前頭前野などに活動が見られた。そのうちでも海馬は活動の中心的であり,弁別作業に重要な役割を果たしていると考えられる。 また,立体認知において内的視覚操作を伴う左右手の視認時における脳内活動を測定した。これはすでにPETによって研究されているが,その情報を脳磁気測定に活かして空間-時間分解能を大幅に向上させたものである。その結果,左右手の判別に際しては運動系がその方略の一翼を担っていること,その活動時期は刺激受容後350msごろに始まることなどが示された。
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