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¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
我々はこれまでには,単発のパターンパルスを両眼に時間差を持って提示したときに,1)刺激間時間間隔(ISI)がゼロであっても,両刺激の提示時間が長くなった場合,および2)提示時間が100ms程度でISIの値が負になった場に両眼立体視が崩壊することを見いだしている.第一の条件は,2刺激の交代の局所的な時間関係は不変であるにも関わらず,単に提示時間を長くすることで,立体視が成立しなくなるという不思議な現象であり,また第二の条件は,もし前述の保持仮説が正しいとするならば,むしろ立体視の成立にとって有利な条件で立体視が崩壊してしまうという点で逆説的な現象である. 予備的な実験で,現象的には信頼性があるデータを得ているが,時間制御の単位も荒く,不完全なものであった.本年は,は静止ランダムドット・ステレオグラムを用いて,数名の被験者に関して,刺激の提示時間,ISIを網羅的に覆う実験を,新たに導入した視覚刺激生成装置(ケンブリッジ大学の生理学科で視覚研究専用に開発されたもの)を用い、より精密な実験を行い,両刺激の時間間隔に関する,立体視,生起,崩壊の条件を確実に記述することに成功した. 上述の現象について現在考えうる最も合理的な説明は,両眼立体視の成立にコントラスト応答に関する過渡,定常の2つの系統が関与しているというものである.さらに,2刺激のオンセット,オフセットに対応した,視覚系内部の2つのタイプの過渡信号が何らかの干渉を起こしているという可能性もあり.継時的両眼立体視におけるオン・オフ過渡信号の役割を検討するために,過渡的な信号が生じにくくした実験を行い,予備的なものながら肯定的な結果を得ている.
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