液体ヘリウム4薄膜上ヘリウム3単原子層膜の2次元凝集現象における量子効果
Project/Area Number |
08240208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森下 将史 筑波大学, 物理学系, 助手 (90251032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 寛 筑波大学, 物理学系, 助教授 (00181298)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 巨視的量子トンネル現象 / 2次元フェルミ流体 / 凝集現象 / 液体ヘリウム / 薄膜 / 超低温 / 比熱 / 磁化 |
Research Abstract |
基盤に物理吸着した液体ヘリウム(^4He)薄膜上のヘリウム3(^3He)単原子層膜は理想的な2次元フェルミ流体を形成する。この系において、低温で2次元凝集を起こす可能性が指摘され、準安定状態を示唆する実験結果が得られている。充分な低温では巨視的量子トンネル効果による準安定状態崩壊を2次元系で初めて捉えられる可能性があり、そのためには安定状態の相図を確立することが必要となる。本研究ではこのために比熱及び磁化を測定し、温度に対する折れ曲がりや飛びから相境界線を決定する。現在までに比熱測定のため装置が完成している。^3He単原子層膜の比熱は非常に小さいために、45m^2という広大な表面積を持つグラフォイルを吸着基盤とし、熱流入が50pWで、100μK以下まで比熱測定可能な装置が完成した。この装置を用い、予備実験として純粋な^3He薄膜の比熱を90μKから80mKの温度範囲で測定した。これは従来の測定を低温側に一桁以上拡張したものであり、これによりこの系の比熱の全貌が初めて明らかとなり、幾つかの興味深い結果を得た。まず、吸着第2層に形成される固相では^3He原子間に数mK程度の交換相互作用が存在するが、これに比べ一桁以上低温まで相転移を示す比熱の異常は観測されず、この系の2次元性が非常に優れていることが実験事実として確認された。また、この固相の交換相互作用は面密度の増大とともに、反強磁性的なものから強磁性的なものに移行するが、強磁性相における比熱の振る舞いに比べ、反強磁性相では比熱の温度変化が非常に緩やかであり、スピン配置に由来するfrustrationや多数の^3He原子が一斉に循環的な交換を行う多体交換の競合の効果が顕著になっているものと考えられる。磁化測定装置も設計が終了して組み立て段階に入っており、これが完成次第、冷凍機に組み込んで、^4He薄膜上^3He単原子層膜の比熱・磁化を測定し、凝集現象の相図を決定する。
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Report
(1 results)
Research Products
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