Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
今年度は以下の研究成果が得られた。 1.「Gauge-Higgs系での谷インスタントンの構成」:この種の系には、「拘束インスタントン法」が用いられてきたが,この方法では拘束条件の選び方に何ら指導原理が無く,困難を内包している.本研究では,それに代わる「固有谷法」を用い,Gauge-Higgs系で谷インスタントンを解析的,数値的に構成し,その性質を詳細に調べた.また,これを拘束インスタントンと比較し,谷インスタントンが多くの望むべき性質を持っていることを明らかにした. 2.「偽の不安定性問題の解決」:1次元で非対称2重井戸型ポテンシャルを持つ量子力学系の虚時間経路積分の解析を行なった.この問題に従来のバウンス法を適用すると,複素エネルギー値が出て,系が「偽の」不安定を持つことになる.本研究者は,バウンスをその中に含む(固有)谷を調べ,その谷の下部は谷インスタントンの対で出来ていることを解明し,この対についての希薄気体近似を虚時間経路積分に適用することにより「偽の不安定性」が解消され,トンネル効果を含む正しいエネルギー値が出ることを示した. 3.「超対称QCDでのインスタントン計算」:Seiberg,Wittenらのいわゆる「厳密解」について、その2インスタントンに相当する部分を直接に計算し,比較を行なった.その結果,一部「厳密解」とことなる部分が見つかった. 4.「摂動論でのAsymptonの発見」トンネル効果がある理論では,摂動級数は一般に漸近級数とならず,Borel和をとれない.本研究では,量子力学系,およびgauge理論において,この問題の根幹をなす摂動汎関数の「擬制の」ピークをもたらす配位,Asympton(これは本研究者の命名)を再調査し,その構造と副Asymptonの存在とを明らかにした.
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