Project/Area Number |
08240231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
長岡 伸一 愛媛大学, 理学部, 助教授 (30164403)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | ビタミンE / 抗酸化反応 / トンネル効果 / 脂質過酸化 / プロトン移動 / 過化促進反応 / ビタミンC / ユビキノール |
Research Abstract |
ビタミンEは、生体内で脂質過酸化ラジカルを消去して、過酸化をできるだけ抑制する作用を担っている。こうしたビタミンEの抗酸化反応は、本質的にはビタミンEから脂質過酸化ラジカルへのプロトンもしくは水素原子移動反応である。我々は、抗酸化反応においてトンネル効果が果たす役割の解明を目的として研究を行った。具体的には、ビタミンEの水酸基の水素を重水素化して、それらが溶液中で脂質過酸化ラジカルのモデルを消去する反応速度やその活性化エネルギーをストップフロー分光法を用いて求めた。実験結果には準古典的な効果では説明しきれない大きな重水素化効果が現れ、トンネル効果が抗酸化反応において重要な役割を果たすことが示された。それに対して、抗酸化反応の逆反応である酸化促進反応でのトンネル効果は小さいことがわかった。さらに、ビタミンCやユビキノールが抗酸化反応で生成したビタミンEラジカルを元に戻す再生反応などにおけるトンネル効果についても予備的な結果を得た。また、こうした情報を元にして、反応のポテンシャル図を求めて、理論計算の結果と比較することを試みている。我々が知る限りにおいて、溶液中、生体中、あるいは生体のモデル中での抗酸化反応におけるトンネル効果を研究しているのは、我々のグループのみである。本研究では、従来のビタミンEの抗酸化反応の研究が注目してこなかったミクロな反応機構や反応のポテンシャル曲面の微視的な解析に光を当てつつある。
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