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¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
蒸発散は懸案地点の気象水文学的な局所性をもつ物理現象であるので,リモートセンシングを用いて広域を対象とする場合にも実態に即した合理的な評価が行われなければならない.このためには,現象の支配的な物理量の抽出,地点気象値の取り込みの可否,広域への展開基準(解像度・画素の集積)要素スケールなどの検討が不可欠となる.本研究では以下の点を重点的に検討した. (1)衛星リモートセンシングとの連携を念頭に開発されている最新の現地微気象観測システムを雨季の熱帯モンスーン地帯で運用する上での問題点の抽出.(2)測器の十分な保守管理を前提とするボ-エン比法に代ってルーチン的に長期に潜熱輸送量を観測推定する方法の検討.(3)均質と思われる地表面領域内での水・熱のフラックスの空間的な分布と変動の程度の検討.(4)リモートセンシングによる植生指標を用いた蒸発散推定での対象領域内の樹種の適切な地覆分類の考慮. 以上の研究の結果,タイの水田サイトでは,の水体の熱貯留の効果が,正味放射量と潜熱フラックスの日変化との間に大きな位相のずれを生じさせることが明らかとされ,この熱収支項目の高精度な測定が必要となることが再認識された.また,日単位以上の時間スケールの場合,入手容易なルーチンデータの日平均値より裸地面の顕熱輸送量は10W・m^<-2>程度の誤差で推定できることを明らかにした.一方,盛夏の灌漑水田において用いた2つの蒸発散モデルの場合とも領域平均量と分布量の平均値とはかなり類似した値(2%程度の差)が得られ,両推定式の結果に大きな違いがなかった.さらに,蒸散量の高精度の推定のためには植生指標を用いた落葉樹と常緑樹の地覆分類の可能性と精度についての議論が必要であることが分かった.
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