Research Abstract |
入手容易なキラル源であるD-マンニトールを出発原料とするシアル酸誘導体の合成法の確立を目的とする。特に,水酸基とアミノ基のマスクコントロールが可能となる合成法を追及する。本合成法は,必要な水酸基を有するアリルアミン,即ち3-アミノ-1-ヘプテン-4,5,6,7-テトラオール体(A)を鍵中間体とし,末端二重結合に対するニトリルオキシドの双極子付加反応により9炭素鎖を構築するものである。 本年度は第一に,この基本計画が可能であることを,別途合成したジアステレオマ-混合物のAとシアノギ酸エチル-N-オキシドとの反応により確認した。 第二にC(3)-アミノ基の立体選択的導入法の開発を検討した。アミノ基導入と同時にC(1)-オレフィンの構築が達成されれば理想的なので,[2,3]-シグマトロピィを検討した。即ち,4,5-O-ベンジリデン-6,7-O-ジベンジル-2-ヘプテン-1,4,5,6,7-ペンタオール体のC(1)-水酸基を,光延反応によってベンジルアミノオキシ基に変換し(R-CH=CH-CH_2O-NHBn),ブチルリチウムを作用させると,期待した[2,3]-シグマトロピィ転移反応が進行して3-アミノ-1-ヘプテン-4,5,6,7-テトラオール体[R-CH(NBnOH)-CH=CH_2]が得られた。C(3)-アミノ基の絶対構造は天然のシアル酸とは逆であった(90%de)。一方,R-基中の4,5-O-ベンジリデン部分を4,5-O-ビス(TBDMS)とし,R-CH=CH-CO_2EtにBnNHOHをマイケル付加させると,天然のシアル酸と同一の絶対構造を有するR-CH(NBnOH)-CH_2-CO_2Et体が得られた(>99%de)。現在,-CH_2-CO_2Et基の末端ビニル基への変換を検討中である。C(3)-アミノ基の立体選択的導入法の第三法として,ニトロンのビニルシランに対する分子内双極子付加反応が有効であることも見出した。
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