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¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
色々な電子デバイスや光デバイスの基本的材料である,電荷を伝搬できる高分子組織体の設計をするために,電荷伝搬の解析法を提案した。電荷伝搬機能分子を含有する高分子系での電荷伝搬は,機能分子の物理的拡散か機能分子間の電荷ホッピングにより起こる。またこの場合,機能分子が局所で振動するいわゆる束縛運動が電荷ホッピングに寄与する。電荷伝搬速度の,機能分子濃度依存性からこれらを区別できることを明らかにした。電荷ホッピングについてはその距離(ナノメターオーダー)が重要なので,組織体中に分散した機能分子間の最近接距離分布を考慮してホッピング距離を求める解析式を提案した。 Ru(bpy)_3^<2+>錯体を分散したナフィオン膜中の電荷伝搬を,膜を透明電極上に被覆して電解質水溶液中に浸漬し,ボルタンメトリーコントローラーにより電気化学的に研究した。その電荷伝搬速度が錯体濃度の2次に比例したことから,電荷ホッピングによる電荷移動が明かとなった。電荷ホッピング距離は1.3nm,これに加えて局所束縛運動による寄与が0.3nmと見積もられた。一方,メチルビオロゲン(MV^<2+>)をナフィオン膜中に分散した系では,電荷伝搬速度がMV^<2+>濃度の1次に比例することから,MV^<2+>の物理的拡散によって電荷が運ばれる。しかし、MV^<2+>を共有結合でポリスチレンに導入した系では,電荷は分子間ホッピングで移動し,ホッピング距離は0.85nm,さらに局所束縛運動による寄与が0.07nmと見積もられた。これらの電荷ホッピング距離は,生体系で報告されている距離と極めて近く,今後のデバイス設計に重要な指針となる。
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