Project/Area Number |
08246242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久枝 良雄 九州大学, 工学部, 教授 (70150498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶌越 恒 九州大学, 工学部, 助手 (00284539)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | ペプチド脂質 / 合成二分子膜 / 疎水性ビタミンB_<12> / 異性化反応 / 臭素化反応 / ポルフィセン / コバルト錯体 / ナノ組織体 |
Research Abstract |
アミノ酸残基を導入した合成ぺプチド脂質は水溶液中で会合し、直径400〜800A^^・の極めて安定な二分子膜ベシクルを形成する。この二分子膜は、疎水性相互作用とアミノ酸残基間の水素結合により会合したナノ組織体である。この人工二分子膜と金属錯体の複合体の触媒機能に関して検討した。 天然のビタミンB_<12>は水溶性であり、二分子膜ベシクル中に取込むことができない。 そこで、ビタミンB_<12>の側鎖のアミド結合をすべてエステル結合に変換した疎水性ビタミンB_<12>を合成した。カチオン性ぺプチド脂質およびアニオン性ぺプチド脂質と疎水性ビタミンB_<12>との組み合わせにより、二分子膜型B_<12>人工酵素を構成した。この人工酵素を用いることにより、均一水溶液中では再現できなかったB_<12>酵素に特徴的な異性化反応を効率良く進行させることができた。また、カチオン性ぺプチド脂質を用いた場合には、興味深い反応が進行した。2,2-ジシアノプロピル基がコバルトの軸位に結合した疎水性ビタミンB_<12>をカチオン性膜中に取り込ませ、光照射により、Co-C結合を開裂させると、主生成物は臭素化物であった。ESRスペクトルの結果より、二分子膜表面に濃縮された臭素イオンから臭素ラジカルが生じ、Co-C結合の開裂により生じたラジカル種と結合して臭素化物を与えたものと結論した。 ポルフィセンはポルフィリンの異性体であり、その金属錯体の性質はポルフィリン金属錯体との比較という観点からも興味深い。そこで、合成二分子膜中へのコバルトポルフィセン錯体の取り込みについて、ゲルろ過クロマトグラフ法により検討した。平面4配位錯体であるCo(II)は二分子膜中に取り込まれにくい。配位可能な官能基を有する脂質や配位塩基を添加することにより膜中に取り込まれ易くなる。軸位にClを有するCo(III)は二分子膜中に容易に取り込まれることより、ポルフィセン錯体のスタッキングがなくなると二分子膜中への取り込みが促進されると結論した。
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