Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
単電子デバイスの特性に大きな影響を及ぼすと考えられる不純物を介したトンネル電流に関して,平成6年以来,我々は,ノッティンガム大学のEaves教授のグループと共同研究を行なってきた.その結果をもとに,本重点領域研究費の配分を受け,マイクロスタット(Oxford Instruments社製)を購入し,半導体ヘテロ構造におけるトンネル現象の光学的特性の測定ならびに,不純物を介したトンネル過程の理論的検討を行なってきた.平成8年度の成果として次のような結果を得た. ・微細共鳴トンネル素子の作製に向けてInGaAs/GaAs量子ドットを作製した.種々のサイズの量子ドットを作製し,そのPL測定を行った結果,InGaAs/GaAs量子ドットにおける歪みの緩和による遷移エネルギーの変化が簡単な経験式で表されることがわかった. ・極めて薄い半導体ヘテロ構造((GaAs)_<20>/(AlAs)_<20>)における不純物準位をサイクロトロン共鳴を用いて測定し,その結果を変分計算を行ない解析した. ・非対称2重量子井戸構造において,電子が両井戸間を,光学フォノンを放出してトンネルする過程を確認した.非対称2重量子井戸構造の光学的測定は,これまでも,数々行われてきたが,我々は, ◯変調分光測定を用いて試料中の電子状態ならびに内部電界を正確に見積もり, ◯フォトルミネッセンス測定と時間分解フォトルミネッセンス測定を行ない,光学フォノン放出が起こる電圧条件を確かめ, ◯購入したマイクロスタットを用いた顕微ラマン測定により,放出された光学フォノンを実際に観測する, というステップを踏み,実験とその解析から光学フォノン放出の過程が重要であることを確認した. さらに,このような研究結果を踏まえ,超格子トンネル構造におけるトンネル過程に伴う光学フォノン放出と折り返しモード音響フォノン・ギャップの観測に関する研究(Eaves教授との共同研究)も始め,現在,マイクロスタットを用いて,超格子トンネル構造における顕微ラマン測定を行っている.
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