Research Abstract |
兵庫県南部地震における鋼構造物の被害では,従来の地震被害では見られない柱材の中間部あるいは接合部における脆性的な破壊が生じ,その原因のひとつとして短時間での急激な地震エネルギー入力によってもたらされる衝撃的な高速載荷の影響が指摘されている.本研究は,高速載荷時の鋼構造架構の破壊現象を実験に基づき解明することを目的としている.本研究では特に形鋼自身に内包する材質的不均一(圧延比の小さい部分の問題,塑性加工の影響)や施工時などに発生する治金的不均一(溶接による大入熱,仮付けの問題)など素材の違い別に及ぼす歪速度の影響,さらに接合部の幾何学的条件のみならずこれら素材不均一による応力集中にも着目し,従来予想し得なかった応力状態における鋼構造物の破壊現象について検討する.研究は平成8年から平成10年迄の3年間で行うこととしている. 平成8年度では,先ず鋼構造多層建築物を対象として弾塑性地震応答解析を行い,接合部にかかると予想される歪速度について検討を行った.次に,50キロ鋼の圧延鋼及び鋼鈑について,特に形鋼については圧延比の異なる部分の違いに着目し,その機械的性質,シャルピー吸収エネルギー,遷移温度について調査を行った.これらは,いずれも9年度から行う高速載荷試験の基礎資料となるものである。
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