ペルオキシダーゼの静的および動的立体構造に基づく基質の活性化機構の解明
Project/Area Number |
08249222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80032283)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | ペルオキシダーゼ / X線結晶解析 / 立体構造 / 基質結合 |
Research Abstract |
ペルオキシダーゼは生体内で生じた過酸化水素を除去するだけでなく、反応過程で生じる活性種を用いて様々な生体物質の代謝に関与している。この酵素は過酸化水素を用いて、ヨウ素イオンなどの無機化合物だけでなくフェノール類などの有機化合物の酸化をも触媒する。この酵素反応は、過酸化水素が分解され酵素自身がcompound Iとよばれる分子種になる過程と、compound Iが還元剤により元の酵素に戻る過程からなる。このうちcompound Iを還元する過程については、基質の結合部位さえもよくわかっていない。本研究では真菌Arthromyces ramosusが分泌するペルオキシダーゼ(ARP)をとりあげ、ヨウ素イオンや芳香族化合物がARPにどのように結合し、活性化されるかを調べた。 1.ヨウ素イオンの結合部位 ARP結晶を30mM KIを含む緩衝液(pH5.5)にsoakし、ヨウ素イオン結合型を調製した。この結晶の2.06Å分解能の回折強度を測定し、D合成およびバイフット差フーリエ合成から、I^-の結合部位を決定した(I^-の占有率は約30%)。I^-はヘムの遠位側へ通じるチャネルの入口上部に結合していた。I^-はARP表面の小さなくぼみにあり、特定の残基・原子と強い結合はないようである。I^-が接しているIle153の側鎖の内側には活性残基のHis56があり、I^-とヘム鉄との距離は12.8Åである。 2.芳香族化合物の結合部位 ARP結晶を約21mMのbenzhydroxamic acid(BHA)を含む溶液にsoakし、そのX線回折強度をシンクロトロン放射光を用いて測定した。1.6Å分解能(F_O-F_C)電子密度から、BHAはヘムの遠位側にヘム面とほぼ平行に結合していた。BHAのOH、NHおよびC=Oは、それぞれHis56Nε、Pro154O、およびArg52Nεと水素結合していた。一方p-クレゾールやレゾルシノールはARPと特定の結合様式をとっていないせいか、上記のような方法では同定できなかった。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)