Project/Area Number |
08249239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松本 和子 早稲田大学, 理工学部, 教授 (60111457)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | シスプラチン / アミノアルキルグリコシド / 抗癌剤 / 5-Aminopentyl-glucose / 3-Aminopropyl-lactose / 5-Aminopentyl-lactose / 5-Aminopentyl-maltotriose / 5-Aminopentyl-panose |
Research Abstract |
シスプラチン(cis-DDP)は優れた抗癌剤として広く化学療法に使用されているが、水浴性が低く、腎毒性等の副作用が大きいことから、これらの問題点を改良した白金抗癌剤の開発が進められている。また近年糖質の生理活性が注目されているが、中でも水酸基による水溶性の高さ、糖鎖の細胞膜の認識作用や、抗癌抗生物質の糖鎖にみられるDNAとの相互作用といった特性は白金抗癌剤にも応用できると考えられる。そこで、白金錯体の水溶性、細胞膜の透過性、及びDNAとの相互作用の向上を試みる目的で、アミノアルキル基を導入した5種類のアミノアルキルグリコシド(5-Aminopentyl-glucose|5G|.3-Aminopropyl-lactose|3L|.5-Aminopentyl-lactose|5L|.5-Aminopentyl-maltotriose|5M|.5-Aminopentyl-panose|5P|)を合成し、これらを配位子とする白金錯体(cis-PtCl_2(NH_3)(aminoalkylglycoside)=|5G|.|3L|.|5L|.|5M|.|5P|)の合成を行い、水溶性の高い白金錯体を得た。さらにこれらの白金錯体についてスクリーニングテストによる抗癌性の検討、及び白金錯体とDNAの反応のモデルとしてcis-DDP及び白金錯体と核酸d(GpG)との反応を行い、糖配位子と抗癌性の相関を研究した。スクリーニングテストの結果、錯体|5L|<|3L|<|5M|cis-DDPの順に高い抗癌性を示し、錯体|5G|.|5P|はほとんど活性を示さなかった。この結果より、配位子である糖鎖は直鎖で、ピラノース環の数が増えるにつれ活性が上がること、またアルキル鎖の炭素数は5個より3個の方が活性が高いことが示された。また白金錯体とd(GpG)との反応の結果、錯体の反応性は|5G|<|5L|<|5M|<cis-DDPの順に高くなることが明らかになった。制癌活性、及び白金錯体とd(GpG)との反応性ともに配位子であるアミノアルキルグリコシドの種類により異なること、また糖鎖が大きくなるにつれ立体障害が増すにも関わらず錯体の制癌性や反応性が高くなるということは、配位子である糖鎖が核酸との反応に際し、何らかの関与を持つことを示している。今後はさらに制癌活性の高い白金錯体の合成を行うとともに、白金錯体の反応性の違いが配位子の糖鎖と核酸との相互作用によるためであるかを検討していく予定である。
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