ホメオボックス遺伝子のfail-safe機構と細胞機能分化
Project/Area Number |
08250203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西郷 薫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50136454)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ショウジョウバエ / 位置情報 / 区画化 / Bar遺伝子 / hedgehog / wingless / dpp / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
ホメオボックス遺伝子BarH1とBarH2は、第一染色体16A領域に位置し、両遺伝子間100kbにわたって分布するコエンハンサー群により発現調節され、調べられた全ての発現細胞で共発現している。また幾つかの組織における機能解析の結果、機能的にも互いに冗長であることが明らかにされ、ある種のfail-safe機構を構成していると推定される。本研究では、3つの標的組織におけるBarH1・BarH2の発現・機能が解析され、そのうち2つの結果から、BarH1・BarH2は、体軸形成に必須なhedgehog/winlessの位置情報に基づく成虫体の区画化及び区画のidentity決定に基本的な役割を果たすことが見出された。また残りの実験からは、BarH1・BarH2がMAPキナーゼ経路と相互作用しながら、細胞のidentity決定に主要な役割を果たすことが明らかにされた。成虫の肢の形成は、decapentaplegic(dpp)/winglessの接点を中心として生じる遠近軸情報によりコントロールされていると考えられている。従ってこの系においては、発生の初期において同心円状に発現する遺伝子が重要な役割を果たすと考えられる。BarH1・BarH2は、まさにこの条件に合致した転写制御遺伝子で、詳細は省くが、その段階的発現により肢の最末端側の5節の境界・運命を決定することが分かった。またこの際に、隣接して発現する別のホメオボックス遺伝子と発現の相互抑制をし、それにより正確な境界面が決定されることが分かった。同様な区画化へのBarH1・BarH2の関与は、背中前端部での末梢神経形成反応の解析過程でも明らかにされた。BarH1・BarH2は、複眼において光受容細胞R1/R6および一対の一次色素細胞で特異的に発現している。BarH1・BarH2をsevエンハンサーで強制発現した結果を詳しく調べたところ、レンズを作るコーン細胞が、光受容細胞R1/R6および一対の一次色素細胞にホメオテイックに変換することが分かった。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)