Project/Area Number |
08250221
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
林 茂生 国立遺伝学研究所, 遺伝実験生物保存研究センター, 助教授 (60183092)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Keywords | ショウジョウバエ / 神経外胚葉 / パターン形成 / decapentaplegic / EGFレセプター / 転写制御 / エンハンサー |
Research Abstract |
ショウジョウバエの中枢神経系は胞胚期の側方部を占める神経外胚葉の細胞の一部が神経芽細胞として陥入する事で形成される。初期の神経芽細胞の配列は体節毎に繰り返し、また背腹方向に3列(lateral,intermediate,medial)に並んだパターンをとる。我々は転写因子Esgが神経外胚葉の背腹パターンを反映した発現様式を示すことに着目し、esg遺伝子を手がかりとして中枢神経系の初期発生のパターンを決めるメカニズムを探求した。 まずesgが神経外胚葉のlateralとmedialの位置に発現することを見出した。次にesgの発現を胚の背腹軸形成に関わる各種の遺伝子の変異体で調べて以下の結論を得た。(1)esgのlateral列の背側の発現境界の位置はシグナル分子Dppとその拮抗分子Sogのバランスによって決定される。(2)予定中胚葉領域では通常esgは発現しないがこれは中胚葉決定因子であるSnail(Sna)とTwist(Twi)による抑制による。従ってesgの発現は未同定の活性化因子による胚全体での活性化と、Dop,Sna,Twiによる抑制により神経外胚葉に限局されると結論された。(3)esgの発現がintermediateの列に見られないのはショウジョウバエEGFレセプター(DER)による抑制による。即ちDERの活性の低下を来すリガンド分子、プロセシング、シグナル伝達系の変異体においてはesgがintermediateの列で異所的に発現していた。 esg遺伝子の上流に発現調節領域を探索した結果、神経系での初期の発現に十分な6.8Kbの領域を同定した。この領域は更に、神経外胚葉全体に遺伝子発現を誘導するdistal領域と、intermediate列での抑制に関わるproximal領域とに分けられた。前者はDpp,Sna,Twiと活性化因子が、後者にDERシグナル伝達系による抑制シグナルが別々に作用すると考えられた。 DERがesgを抑制するのに際して,DERの活性がintermediate列でピークに達することを説明するモデルを提出した。本研究は神経外胚葉の内部の、背腹軸方向のパターン形成機構に関する最初の報告である(Yagi and Hayashi,1997)。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)