標的遺伝子組換えによる変異マウスを用いたリンパ球シグナル伝達の研究
Project/Area Number |
08252209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
北村 大介 東京理科大学, 生命科学研究所, 教授 (70204914)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Keywords | 抗原受容体 / シグナル伝達 / リンパ球分化 / アポトーシス / 非受容体型チロシンキナーゼ / HS1 / Lyn / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
1, 抗原受容体からのシグナルは、成熟リンパ球細胞においては活性化を、未熟リンパ球細胞においてはアポトーシスを引き起こす。この2つの異なる細胞反応を決定するシグナル伝達機構を解明するために、本研究では標的組み換えによる遺伝子変異マウスを解析した。抗原受容体シグナル伝達に重要な役割を果たすLyn,Fyn,Syk等の非受容体型チロシンキナーゼ(PTK)の細胞内基質であるHS1の欠損マウスでは、sIgM架橋による腹腔B細胞のアポトーシス誘導と胸腺T細胞のアポトーシスによる陰性選択が不完全なことが明らかになった。よってHS1蛋白はBおよびT細胞において抗原受容体からのアポトーシスを誘導するシグナル伝達の少なくとも一部を担っていることが示された。一方、Lyn遺伝子ノックアウトマウスでは、抗IgM抗体刺激によるHS1やその他のPTKの細胞内基質蛋白のチロシンリン酸化が著減していた。リンパ芽球様細胞およびプラズマ細胞の異常増加と脾臓リンパ節の腫大、血中抗体価の異常高値、自己抗体および自己免疫性腎病変などの異常が観察された。従ってLynは自己反応性B細胞の陰性選択とB細胞の最終分化の制御に重要な役割を果たしている考えられた。 2, アポトーシス誘導シグナルに関わる新たな経路を解明するために、抗原受容体架橋によりアポトーシスに陥るB細胞WEHI-231とその耐性変異株との間でcDNAサブトラクション法を行い、耐性株において発現の欠損する新規遺伝子cDNAを単離した。また、HS1の作用機序解明のために、two hybrid法によりHS1結合蛋白の遺伝子cDNAを同定した。今後、これらの遺伝子の生理機能を標的組換え法により解明したい。さらに現在、抗原受容体シグナルの標的と考えられるc-myc遺伝子の組織特異的・誘導性ノックアウトマウスの作製を進めている。これらの変異マウスの解析を通して、リンパ球アポトーシスを誘導する抗原受容体シグナル経路を分子レベルで解明したい。
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Report
(1 results)
Research Products
(12 results)