新規開発の無機イオン交換膜を活用した新しい水殺菌用イオン交換膜電気透析系の開発
Project/Area Number |
08255106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
佐藤 利夫 島根大学, 生物資源科学部, 講師 (40170766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 喬 山梨大学, 工学部, 教授 (60020385)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 水の殺菌法 / 無機イオン交換膜 / 電気透析法 / 限界電流密度 / 中性攪乱現象(水の解離現象) / H^+、OH^-イオン |
Research Abstract |
1.緒言 本研究は、疫学的安全性や放流域の生態系への影響が危惧されている塩素殺菌法に代る水の新殺菌法の確立を目指したものである。本電気透析殺菌法は、イオン交換膜電気透析において限界電流密度以上の高電流密度透析時に液膜界面で起こる水の解離現象(中性攪乱現象)により産生されるH^+およびOH^-イオンを活用し水中の細菌を殺菌する方法でありこのH^+・OH^-イオンは電場がかかっていない透析槽の外へでると、容易に中和反応を起こし水にもどるため、極めて安全な殺菌法である。本法の殺菌効果は市販の有機系イオン交換膜を使用した電気透析系において実証済であるが、有機系交換膜は電解質の分離・濃縮等を行う目的で作られているため、限界電流密度が高く中性攪乱現象が起きにくいように作られており、また中性攪乱現象により産生されるH^+およびOH^-イオンに対する耐食性も乏しい。本研究は、耐食性・耐久性に優れ、かつ限界電流密度が低く中性攪乱現象が起き易い無機イオン交換膜を開発し、これを活用した水殺菌専用の電気透析系の確立を目指すものである。 2.成果 現在までの成果として、ゾル-ゲル法の一つであるdip-coating法を利用した手法により無機陽・陰イオン交換膜の製膜法をほぼ確立した。試作した無機陽・陰イオン交換膜の限界電流密度はcoating回数により異なるが、対照とした有機系陽・陰イオン交換膜のそれぞれ1/2〜1/3であった。これは中性攪乱現象を低電流密度で効率良く起こすことが必要な本電気透析殺菌法に使用する交換膜としては非常に有利な膜と言える。 殺菌効果の評価は、無機陰イオン交換膜の開発に時間がかかったため、無機陽イオンを用いた透析系の評価のみ行っている。10^7個/mlの濃度で大腸菌を浮遊させた試料水とし殺菌実験を行った結果、無機陽イオン交換膜を使用した透析系では、無機陽イオン膜の限界電流密度(0.96A/dm^2)の約1.1倍の電流密度条件(1.10A/dm^2)で透析すると、生菌率は0%となり完全殺菌できたが、有機陽イオン交換膜を使用した系では、実験において最も高電流密度である1.40A・dm^<-2>の条件で透析しても0.02%程度の生菌率であり、すなわち菌数とし10^3個/mlは残存しており、完全殺菌に至るような強い殺菌効果は得られなかった。 この結果から、新規開発の無機膜は限界電流密度が低く、低電流密度で効率よく中性攪乱現象を起こし、本電気透析系に適する交換膜であることが証明された。今後は無機膜のみを使用した電気透析系の評価を行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)