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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
農業排水路を活用した農薬・栄養塩の排出負荷削減による生態系にも配慮した水環境改善・修復手法の適用研究を実際の農業河川・農業水路で行った。淀川右岸支川の田園地河川芥川で,本川及び分流した農業水路の流下過程における農薬・栄養塩の物質収支法による増減と,河床付着生物膜中の農薬・栄養塩変化の追跡調査を行った。芥川本川は漁協が河床の石・礫で人手により簡易に淵・瀬を交互に造り,養殖渓流魚を放流した釣場としている。2.5kmの農業水路は三面コンクリート張で流速が1m/sと大きく,一部有蓋で道路にもなるなど,生物膜の付着量が少なかった。5月19日〜7月13日に週2回頻度の調査により水稲移植前から除草・殺虫・殺菌剤の散布期をカバーした。流速が0.5m/s以下で3.3kmと2.5kmの河川流下区間でThiobencarbとIBPの濃度減少があった。河床付着生物膜中には6月22日まではEsprocarbが0.61mg/m^2,Mefenacetが0.30mg/m^2,Symetrynが0.05〜0.063mg/m^2,Thiobencarbが0.02mg/m^2,7月13日まではMefenacetが1.01mg/m^2,IBPが0.04mg/m^2,Butachlorが0.03mg/m^2,Ethylthiometonが0.002mg/m^2が摂取されていた。浮遊細菌よりはるかに密度の高い付着細菌の現存量を増やし,滞留時間を増大する人工的工夫により化学物質分解量の増大が計れる。生物膜中の付着藻類は無機態窒素・リンを生物体に変換・除去し,自らは水生昆虫・魚類の餌となり,生態系の基礎生産を支えることになる。又,霞ヶ浦流入河川の恋瀬川調査では,兼業農家による水稲移植・農薬散布作業の時期的集中によって,河川沿いの水田群から排出された栄養塩・農薬の流出率が河川水の反復利用にも関わらず下流まで高率であった。栄養塩・農薬の排出負荷削減による水環境・生態系保全には,水田群システムとして水稲移植期の時間的住み分けや無・減農薬栽培水田配置の空間的住み分けの急務が提起できる。
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