筋萎縮性側索硬化症およびモデルの動物脊髄内トランスグルタミナーゼと抗酸化酵素活性
Project/Area Number |
08256103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
永田 豊 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70084499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 虔夫 横浜市立市民病院, 神経内科, 院長
高橋 久英 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (80084606)
藤田 公和 名古屋短期大学, 教授 (50149506)
安藤 正人 愛知学泉大学, 解剖生理学研究室, 助教授 (40097720)
山内 理充 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (30278303)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症(ALS) / ニューロン変性(Mnd)マウス / 抗酸化酵素(SODなど) / チトクローム酸化酵素 / グリア線維性酸性タンパク(GFAP) / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者より死後摘出、凍結保存した脊髄組織内の抗酸化酵素活性を測定した結果、組織内に異常発生した細胞傷害性のスーパーオキシド(O_2^-)を消去してH_2O_2を生成するジスムターゼ(SOD)酵素活性、および生成したH_2O_2を分解して無毒化するグルタチオン過酸化酵素活性は、共に非ALS患者脊髄の値と比べてほどんど差異が認められなかった。しかし、好気的エネルギー産生系に関与しているミトコンドリア電子伝達系複合酵素IVのチトクローム酸化酵素活性は脊髄各部(前・側および後部)でいずれも有意に減少しているのが認められ、この変化は好気的代謝の盛んな脊髄内ニューロンの変成・脱落像に対応する生化学的結果と対応するものと考えられた。 遺伝的ALSモデル動物のMndマウスは、生後5-6ケ月頃より下肢に始まる麻痺が次第に進行して、8-9ケ月齢には前肢の運動障害を起こして摂食不能となり10ケ月頃には死亡する。脊髄横断組織像では前角ニューロンの変性・脱落と、反応性グリア細胞(主としてアストロサイト)の増殖が認められ、アストロサイト特異タンパクとして知られるグリア線維性酸性タンパン(GFAP)の抗体染色性の著明な増大が認められた。ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)法によるタンパク分画像で、pI5.6-6.0の酸性領域で、分子量50kDaおよびそれより低分子で35kDa付近にまで散在するタンパクスポットがMnd脊髄標本で増大して認められた。これらタンパクスポットをPVDF膜にブロットした後、抗GFAP抗体で染色すると、いずれもGFAP陽性タンパクと確認された。プロテインシーケンサーによる分析の結果、分子量50kDaタンパクは430個のアミノ酸よりなる完全なGFAP分子で、Mndマウス脊髄中に生後5ケ月以降著明な増大が認められる低分子スポットは、それぞれN-末端より29番目および56番目の部位で頭部ドメインが切断されたGFAP分子であることが確定された。これらの低分子GFAP群のMnd脊髄内での増大は、脊髄内ニューロン変性の進行とほぼ並行していることから、これらの異常GFAP分子を生成するカルパインのようなCa^<2+>依存性プロテアーゼ活性の変動を今後調べる必要があろう。また、これらの脊髄内での生化学的変動が脊髄ニューロンの変性過程とどのような関連を持っているかについて、さらに検討するべきである。
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Report
(1 results)
Research Products
(12 results)