ニューロフィラメントの動態変化とニューロン細胞死の初期過程
Project/Area Number |
08256205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小宮 義璋 群馬大学, 医学部, 教授 (50010046)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 神経軸索 / 細胞骨格 / ニューロフィラメント / 蛋白リン酸化 / フォスファターゼ阻害剤 / 軸索内輸送 |
Research Abstract |
神経細胞の情報出力系である軸索は非常に長い場合があり、その体積も細胞体のそれの数100倍に達することも稀ではない。この構造と機能を維持するために軸索には細胞骨格が発達している。軸索内の主な細胞骨格は3種類で、そのうちニューロフィラメント(NF)は最も安定度の高いポリマーで、近年N末端側の少数のリン酸化によって脱重合が引きおこされる可能性が示唆されている。一方NFの3種のサブユニットのうちNF-H(みかけの分子量200,000)とNF-M(同160,000)のC末端側には多数のリン酸化部位をもつ長い延長鎖が付加されており、この部分のリン酸化によってNF同士あるいは微小管等他の細胞骨格との相互作用が制御されていると考えられている。このようにNFの構造と機能がそのリン酸化によって変わるとされているにもかかわらず、NF蛋白の調製には組織中のフォスファターゼの作用による脱リン酸化に注意が払われていなかった。今回この点に注意して調製を行い、ラット坐骨神経におけるNF蛋白の溶解性とその軸索内輸送との関連性を調べた。 軸索内のNF-Hの約20%がフォスファターゼ阻害剤存在下に1%Tritonを含む緩衝液で処理すると可溶性であるのに対して、フォスファターゼ阻害剤のない条件下では可溶性画分に回収される量ははるかに少ない。これに対してNF-L(見かけの分子量68,000)はこの条件下ではすべてが不溶性であり、フォスファターゼ阻害剤により影響を受けない。このことからNF-Hの可溶性はNFの重合・脱重合とは関連していないことが示唆される。更にNF-Hの可溶化はc-AMP依存性蛋白キナーゼによるN末端側のin vitroリン酸化によってもおこるが、この際にはNF-Lの可溶化も同時に見られるので、NFの脱重合がおこっていると推定される。一方C末端側のリン酸化状態に依存する抗体を用いて解析すると、NF-Hの可溶性とC末端側のリン酸化状態との間には直接の関連性は見られなかった。 軸索内のニューロンフィラメントを【^<35>S】-メチオニンで標識して、その輸送途中でNF-H溶解性を調べてみると、輸送のピークが軸索のどの位置にあっても溶解性が最も低く、輸送の先端部分(leading edge)と末端部分(細胞体近位部)でもっとも可溶性の割合が高かった。このことからNF-Hの可溶性は輸送されている移動相のニューロフィラメントと相関性を有すると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)