ADF(ATL由来因子)/チオレドキシンの脳内発現と神経細胞死‐ラジカル消去作用と虚血脳保護効果‐
Project/Area Number |
08256215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
秋口 一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30115779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 慎一 京都大学, 医学研究科, 助手 (20231475)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ADF / TRX / 遅発神経細胞懐死 / 脳虚血 / アストログリア / フリーラジカル |
Research Abstract |
ADF/TRXは、ヒト成人型T細胞白血病患者から確立されたT細胞株の培養上清に発見されたタンパクである。本因子はSODによって生成される過酸化水素を捕捉し、培養神経細胞の生存率を改善する効果が認められている。我々はADF/TRXが一過性全能虚血モデルで脳保護効果を示すことを報告してきた。本年度はヒトの脳梗塞に近似する一過性局所脳虚血で同様の検討を行い、併せてラジカル関連分子の変化について検討した。局所脳虚血はラットの中大脳動脈をナイロン糸で閉塞し作成した。閉塞30分前に、ADF/TRX20μgを20μlの人口脳脊髄液に溶解し側脳室内に注入した。24時間後に脳の1mm厚切片をTTC染色し、LUZEX3U画像解析装置で梗塞面積を定量した。測定はブレグマの前後4スライスで行い、人口脊髄液投与群で19.2±14.5、23.7±9.3、22.4±10.7、15.2±10.2、ADF/TRX投与群で13.0±9.4、27.7±11.9、28.1±14.3、21.7±18.7mm2(Mean±SD)と両群で差を認めなかった。さらに一過性局所脳虚血における一酸化窒素合成酵素(NOS)の変化をNOS免疫組織化学、NADPHジアホラーゼ(NADPHd)染色で検討した。前述のモデルで2時間後に再灌流し、虚血直後または3時間から7日間生存後灌流固定した。偽手術群で神経型NOS(bNOS)は散在する神経細胞に陽性であった。虚血群で直後から虚血中心部に数珠状のbNOS陽性線維が出現し、3日後まで持続した。再灌流6時間以後細胞体の変性像を認め、時にbNOS陽性グリアを梗塞巣周辺部で認めた。NOSのマーカーのNADPHd組織化学でも、2時間後の虚血後bNOS免疫染色と同様に数珠状変化が認められ、梗塞巣周辺で時にNADPHd陽性グリアを認めた。対照のアセチルコリンエステラーゼ染色、セロトニン免疫染色では再灌流直後の線維形態の変化は認めず12時間以後線維密度が減少した。内皮型NOS(eNOS)は血管内皮に陽性で、免疫電顕法で主に粗面小胞体に極在した。再灌流12時間から3日にかけて梗塞巣周辺部で血管内皮のeNOS染色とNADPHd染色性が増強していた。以上(1)ADF/TRXの保護効果は局所脳虚血モデルでは確認できなかった。この原因として再灌流を行わなかった点が挙げられる。(2)bNOS陽性神経細胞は、神経突起部で虚血の早期から特異的に変化する。eNOSは染色性が虚血周辺部で一過性に増強する。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)