神経細胞死の制御要因としての可溶性カルシウム結合蛋白質
Project/Area Number |
08256219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小倉 明彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30260631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨永 恵子 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60256196)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 海馬 / カルシウム結合蛋白質 / ヒポカルシン / 神経栄養因子 / 環状AMP |
Research Abstract |
昨年度の研究で、ある種の神経細胞の細胞質内に多量に存在する可溶性Ca結合蛋白の一種ヒポカルシンが、従来いわれているような、興奮に伴って細胞外から流入する「Caイオンの緩衝物質」としてではなく、より積極的に排出に関与する調節蛋白らしい、との知見をえた。これをさらに検証する目的で、ヒポカルシンを翻訳抑制遺伝子導入(ドミナントネガティブ)法で発現抑制する試みを開始した。しかし、神経細胞に外来遺伝子を導入することは従来の方法では困難であったので、いったん迂回して、まず向神経性ウィルスをベクターとして用いる技術の確立を目指した。限定増殖性にしたアデノウィルスに、βアクチンのプロモーターの支配下においたcDNAを組込み、これを初代培養海馬神経細胞に導入することに成功した。試みとして、その代謝産物が細胞死を誘発するとされるアミロイド前駆体蛋白(APP)を発現させたところ、興奮性伝達物質グルタミン酸への応答性が有意に増大した。APPの機能解析は本課題が当初掲げた目標ではないが、グルタミン酸感受性の調節は細胞内Ca代謝と直接関連するので、この解析を精密化して論文とした。現在、このアデノウィルスベクターを用いて、ヒポカルシンの発現抑制を試行中である。 昨年度の研究で、損傷した脳の抽出物から新規神経栄養因子(脳損傷由来神経栄養因子;BINF)をえ、さらにBINFの断片13-merペプチド(BINP)が栄養因子活性を持つことを示した。この活性の機構を知るため、BINPを培養神経細胞に投与したところ、細胞内Ca濃度の変動なしに環状AMP濃度の上昇が誘発されることが観察された。また、海馬切片標本に投与すると、環状AMPアナログ投与の際に類似したシナプス伝達効率の漸増現象が観測された。したがって、BINPならびにBINFの栄養因子活性は、アデニル酸シクラーゼを介すると示唆される。現在、BINP受容体をえる目的で、BINP結合蛋白を精製中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)