無脊椎動物に存在する脊椎動物類似視細胞の機能性蛋白質の分子進化
Project/Area Number |
08257209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
七田 芳則 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60127090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺北 明久 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30212062)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 分子系統樹 / 視細胞 / 繊毛型視細胞 / 感桿型視細胞 / 光情報変換機構 / 視物質 / G蛋白質 / Go型G蛋白質 |
Research Abstract |
ホタテガイは、高等無脊椎動物に一般に存在する感桿型視細胞に加えて、形態的には脊椎動物の視細胞と類似する繊毛型視細胞を持っている。ホタテガイの繊毛型視細胞の光情報変換機構を分子進化の側面から議論する目的で、機能する光受容蛋白質(ロドプシン)とG蛋白質の同定を行った。 2種類のロドプシンの全一次構造をPCR法を用いて決定した。一方(SCOP1)は、イカ・タコの視物質と一次構造が大変良くにていたが、もう一方のロドプシン(SCOP2)は、明らかになっている脊椎動物と無脊椎動物の視物質とそれぞれ30%程度の一致度しか認められなかった。抗体とRNAプローブを用いて組織化学的実験を行なったところ、SCOP1は感桿型視細胞に、SCOP2が繊毛型視細胞に存在していた。同様の方法で、眼に存在する5種類のGaサブクラスのcDNAを単離した。それらを用いて、バクテリアでペプチドを強制発現させ抗体を作成し、免疫組織化学的実験を行ったところ、Gqは感桿型視細胞の光受容部位に、Goが繊毛型視細胞の光受容部位に局在していた。すなわち、ホタテガイ繊毛型視細胞では、SCOP2とカップルする新しいGo共役型光情報交換機構が機能していることが明かとなった。 最尤法を用いて視物質の分子系統樹を作成したところ、SCOP2は脊椎動物の感桿型視細胞に存在する視物質とも無脊椎動物の繊毛型視細胞に存在する視物質ともクラスターを形成せず、第三のサブグループを作ることが示唆された。さらに、視物質の分子系統関係は、視物質がカップルする情報伝達機構の違いも良く反映している。したがって、視物質の分子系統樹から、トランスドューシン共役型、Gq共役型そしてGo共役型の光情報変換機構が、脊椎動物と無脊椎動物の分岐前にすでに存在していたことが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)