Project/Area Number |
08261201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐竹 正延 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50178688)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / プロトオンコロジー / PEBP2β / 転写因子 / 造血幹細胞 / ジーン・ターゲティング |
Research Abstract |
我々はこれまでに、DNA結合能を有するαサブユニット、及びαとヘテロダイマーを形成しそのDNA結合能を促進するβサブユニットの、2つのサブユニットから成る新しい転写因子PEBP2について、それらをコードするマウス遺伝子を単離し、その構造・機能を解析してきた。一方ヒト急性骨髄性白血病(AML)のM4型でみられる、inv16 (p13q22)の転座点には、キメラ遺伝子PEBP2β/SMMHCが形成されることから、PEBP2β遺伝子がAMLのプロトオンコジンであるとの性格づけがなされた。本研究はPEBP2β遺伝子の機能を破壊した。ターゲティング・マウスの表現型を解析することにより、血球幹細胞の増殖・分化におけるPEBP2転写因子の機能を明らかにする目的で行われた。 先ずPEBP2β蛋白の翻訳開始Metコドンを含む、第1エクソンを欠失させた相同組換えES細胞クローンを得た。ES細胞をマウス初期胚に戻しキメラ・マウスを、さらにPEBP2β(+/-)のヘテロマウスを得る事ができた。ヘテロマウスは特に異常なく発生し成長した。 一方PEBP2β(-/-)のホモ個体は脳室内への出血を伴い、12.5日令で胎生致死となる。またプリミティブな赤血球は認められるが、肝におけるデフイニテイブな造血像は殆ど認められない。肝造血の欠如は、肝組織切片のHE染色標本・肝組織スタンプ・スミアのMG染色標本で何れの系統の血球をも認めないことから明らかである。また12.5日令のPEBP2β(-/-)肝より細胞を採取し、デフイニテイブな造血を促す栄養条件下でin vitroのコロニー形成法を行っても、赤血球系・骨髄球系・混合型の何れのコロニーをも検出できなかった。以上の観察はPEBP2β遺伝子が、おそらくは造血幹細胞のレベルで、その発生・増殖・分化に必須の遺伝子として働いていることを示唆している。 PEBP2転写因子のαサブユニットをコードするAML1遺伝子欠損個体もまた、類似の表現型を示すことが報告されている。デフイニテイブな造血の発生において、PEBP2転写因子のα・βサブユニットは必須かつ等価の機能を果たしていると考えられる。
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