Project/Area Number |
08264204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐竹 正延 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50178688)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / プロトオンコジン / PEBP2β / 転写因子 / 免疫組織化学 / 筋細胞分化 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
転写因子PEBP2βはDNA結合能を有するα、及びαとヘテロダイマーを形成しそのDNA結合能を促進するβの、2つのサブユニットから成る。我々はこれまでに、α及びβサブユニットをコードするマウス遺伝子を単離し、その構造・機能を解析してきた。これらの中でヒトPEBP2β遺伝子は、ヒト急性骨髄性白血病(AML)のM4型でinv16 (p13q22)の転座点に位置するプロトオンコジンであるとの性格づけがなされている。プロトオンコジンであるPEBP2β遺伝子の生理的機能については、胎生肝におけるデフィニティブな造血の発生に必須であることが最近示されたが、他の細胞・組織の分化・発生における役割については知られていない。そこで、PEBP2β遺伝子産物のin vivoにおける発現様式をマウスの胎生期から成体まで、免疫組織染色を用いて検討し、その生理的機能を考察することを目的に本研究を行った。なお本研究では、特徴的な発現パターンを示した筋細胞の分化過程に焦点をあてて解析した。PEBP2β蛋白のアミノ末端に対するペプチド抗体を作成し、免疫組織化学法により骨格筋細胞の分化・成熟時におけるPEBP2β蛋白の発現様式につき解析した。未分化の筋芽細胞ではPEBP2βは染色されないが、伸長し整列した筋芽細胞では中等度のPEBP2β染色像が認められた。細胞が融合し多核の筋管細胞になると染色強度は更に増強した。出生前後に筋細胞が筋線維に成熟するとPEBP2β蛋白は、z線もしくはその近傍にα-アクチニンと共局在する。従ってPEBP2β蛋白は、骨格筋細胞の分化・成熟に伴い発現が増強し、かつ筋線維においては特徴的な細胞内局在を示すことが判明した。上記の骨格筋細胞の分化過程において、染色は細胞質に認められ、核が染色されるのは多核の筋管細胞においてのみである。今回の研究により、成熟した筋線維においては、PEBP2β蛋白はが横紋構造のZバンドに一致した局在を示し、また骨格筋細胞の分化過程においては、筋芽細胞から筋管細胞への分化の進行に伴って明らかな発現の増強が認められ、筋管細胞の段階でのみ核でも検出されることが判明した。このことにより、PEBP2βは核内で転写因子として機能するだけでなく、細胞質でも例えば細胞質骨格に関連するといった何らかの機能を持つ可能性があることを示唆することができた。PEBP2β蛋白の核内での転写因子としての機能と細胞質での機能が、筋細胞の分化、そして筋線維の構造と機能にどのように関連しているのか、今後興味の持たれるところである。プロトオンコジンとしてのPEBP2β蛋白の機能を解析することは、キメラ蛋白によるAMLの発生機構の理解にも寄与すると思われる。
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