発がんの原因となる染色体異常に関与する遺伝子の探索と解析
Project/Area Number |
08264206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 日出男 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 潤一 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10194820)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 染色体異常 / Ku抗原 / ATM遺伝子 / ブルーム症候群 / ウェルナ-症候群 / recQ遺伝子 / チェックポイント / ユビキチン |
Research Abstract |
本研究では、発がんの原因となる事の多い染色体異常が生じるメカニズムを明らかにする事を目的に研究を行った。 (1) 哺乳動物細胞のX線感受性などに関与するKu抗原は、高い頻度でがんを引き起こすAtaxia telangiectasisの原因遺伝子との関連などから現在大変注目されている。我々は出芽酵母の系を用いて、出芽酵母のKu抗原のホモログが非相同的組換え(相同性のほとんどないDNA領域間で起こる組換え)に関与する事を明らかにしてきた。その機能について調べた結果、非相同的組換えに関与する他の因子であるRad50,Mre11,Xrs2蛋白質と同様に、DNA切断後のDNA再結合の過程に機能している事が明らかになった。 (2) 染色体異常が高頻度で起こるブルーム症候群、ウェルナ-症候群の原因遺伝子は大腸菌のrecQ遺伝子のホモログである。大腸菌のRecQ蛋白質の非相同的組換えにおける機能について調べた結果、RecQ蛋白質の非相同的組換えを抑える働きが明らかになった。また出芽酵母におけるrecQ遺伝子のホモログであるSGS1遺伝子産物も同様の機能を持つ事が分かった。これらの結果はRecQ関連蛋白質の機能が原核生物、下等真核生物からヒトに至るまで保存されている事を示唆しており、この大腸菌、出芽酵母の系は両遺伝病のモデル系として大変期待される。 (3) 分裂酵母のX線感受性に関与するrad21^+遺伝子、またその出芽酵母におけるホモログであるRHC21遺伝子の高温感受性変異株を単離して調べた結果、これらの遺伝子産物は染色体分配に必須な働きをしている事が明らかになった。また分裂酵母のrad21^+遺伝子についての解析から、大変興味深い事に、染色体が傷つけられた時などに細胞周期の進行を止めるチェックポイントにこの遺伝子が関与している事、さらにユビキチン依存性蛋白質分解経路にも関与している事が明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)