H-ras遺伝子欠損マウスを用いた皮膚発がん機構の研究
Project/Area Number |
08264225
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
饗場 篤 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (20271116)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 健司 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90253533)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
|
Keywords | H-ras / ノックアウトマウス / 皮膚発がん / パピローマ / DMBA / TPA / 点突然変異 / K-ras |
Research Abstract |
本研究では、化学発がん物質をH-ras遺伝子欠損マウスに用いて、発がんにおけるH-ras遺伝子の役割を直接検証すること、および新たながん遺伝子を単離することを目的とした。H-ras遺伝子欠損マウスおよび野生型マウスにDMBAの単回投与およびTPAの反復投与により、パピローマの形成能を調べた。その結果、野生型では一匹あたり、平均約16個のパピローマが観察されたのに対して、H-rasヘテロ型欠損、ホモ型欠損マウスでは、その2分の1、および7分の1程度の数のパピローマしか観察されなかった。このことはH-ras遺伝子がパピローマの形成において重要な役割を果しているが、その形成に必須ではないことを示している。また、パピローマのDNAを抽出し、H-,K-,N-rasのすべてについて12,13,61番目のアミノ酸残基をコードするDNA塩基配列を決定したところ、野生型マウスに形成されたパピローマのDNAではすべてH-rasの61番目のコドンに突然変異が検出された。一方、H-rasホモ型欠損マウスに形成されたパピローマのDNAでは半数以上でK-ras遺伝子の12,13,61番目のコドンのいずれかに突然変異が検出され、他のパピローマでは、K-,N-ras遺伝子のいずれにも突然変異は検出されなかった。この結果により、K-ras遺伝子の活性化によってでも皮膚パピローマの形成はおこることを初めて示すことができた。今後は同様の系を用いて、腫瘍の悪性化にどのようにH-ras,K-ras遺伝子および他の発がん遺伝子が関与しているかを検討したい。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)