Project/Area Number |
08265242
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菊池 章 広島大学, 医学部, 教授 (10204827)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 昭世 広島大学, 医学部, 助手 (50274064)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
|
Keywords | Ras / RalGDS / 細胞内シグナル伝達 / RalBP1 / Ral |
Research Abstract |
私共はRalGDSがRasの標的蛋白質であることを見い出しているが、RasGDSを介するRasのシグナル伝達機構を解析し、本年度の研究により以下の諸点を明らかにした。RasはC末端側が脂質による翻訳後修飾を受けており、この修飾がRasの細胞膜への局在や機能発現に重要であることが知られている。そこで、Rasの活性化によって引き起こされるRalGDSの細胞内局在の変化を解析した。RalGDSはCOS細胞内では細胞質画分に存在しており、膜画分には認められなかった。しかし、RalGDSをRasと共に発現させるとその半分が膜画分に認められた。これらの結果は細胞膜に存在するRasがRalGDSを細胞質から細胞膜へトランスロケ-トさせることを示している。RalもC末端側が脂質による翻訳後修飾を受けている。Ralの翻訳後修飾はRalGDSのRalに対するGDP/GTP交換反応促進活性を増強した。RalBP1はRalの標的蛋白質であることが知られているが、RalによるRalBP1の細胞内局在の変化を解析したところ、RalはRalBP1の細胞内局在を細胞質画分から膜画分にトランスロケ-トさせた。また、Rasの標的蛋白質結合部位の変異体を用いて、RalGDSを介するシグナル伝達系がRafとは異なることが明らかになった。さらに、RalGDSはRafと相乗的に作用してc-fos遺伝子の発現を促進した。これらの結果から、RalGDSを介するシグナル伝達系はRafのそれと共にRasの機能発現に重要であり、また、シグナルは細胞膜上を効率的に伝わることが明らかになった。以上、本年度の研究は予定通りに進行したと判断しているが、今後は膜画分に存在するRalGDSやRalBP1の活性化因子の有無やRalGDSとRalによる遺伝子発現および細胞増殖の制御機構を明らかにすることにより、RalGDSを介するRasの新しい細胞内シグナル伝達機構の生理的意義の全貌を解明したい。
|