海洋糸状菌、海綿、ホヤを対象としたがん化学療法剤の探索
Project/Area Number |
08266220
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
浪越 通夫 東京水産大学, 水産学部・海洋環境学科, 助教授 (30189196)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
供田 洋 北里研究所, 生物機能研究所, 室長 (70164043)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Keywords | 微小管重合阻害 / 有糸分裂阻害 / 殺がん細胞活性 / 血管新生阻害 / 海洋糸状菌 / 海綿 / ホヤ / 生物活性物質 |
Research Abstract |
平成8年度は、ヤップ、ポナペ、パラオ諸島にて採集した海洋無脊椎動物(海綿、ホヤが中心、331種)の抽出液及び、海洋動物、海藻、海草、海中固形物、海水、海泥などから分離した海洋糸状菌(1813株)の培養液から、がん化学療法剤としての応用が期待できる二次代謝産物のスクリーニングを行った。スクリーニングには、微小管機能阻害活性、殺がん細胞活性、血管新生阻害活性を検出するための生物活性試験を用いた。 微小管機能阻害活性を検出する簡便な方法として、稲イモチ病菌胞子発芽管の形態異常を調べる検定試験を開発した。ヤップ島で採集した海洋無脊椎動物では9.6%(11検体)、ポナペ、パラオ島産のものでは13.6%(24検体)が活性を示し、海洋糸状菌培養液では、ヤップ島で分離した株は8.2%(9株)、ポナペ、パラオ島で分離した株は8.3%(141株)の活性出現率を示した。阻害活性物質の分離を行い、現在までに海洋糸状菌培養液から3種の新規物質を単離し、その平面構造を明らかにした。新規化合物のうち2種が、ブタ脳より精製した微小管タンパク質を用いた微小管重合試験で強い重合阻害活性を示した。他の阻害活性物質の分離も続行している。 ヒト前骨髄性白血病細胞HL-60、ヒトTリンパ芽球様細胞Molt-4、及びマウス白血病細胞P-388の3種のがん細胞を用いた細胞毒性試験を行った(東理科大学薬学部上野芳夫教授のグループとの協力)。ヤップ島で採集した海洋無脊椎動物の2-プロパノール抽出液はHL-60に対して43.5%(50検体)、Molt-4に対して17.4%(20検体)の活性を示した(10mg/mL以下の濃度)。Molt-4に活性を示した抽出物は全てHL-60にも細胞毒性を示した。ポナペ、パラオ島で分離した海洋糸状菌の培養液では、HL-60に21%(319株)、Molt-4に7%(100株)、P-388に17%(246株)の率で細胞毒性を示した。現在、海洋糸状菌培養液で非常に強い活性を示した5株の大量培養を行い、細胞毒性物質の分離を行っている。 ウシ大動脈血管内皮細胞の増殖阻害活性を共同研究者の属する北里研究所において行った。生物検定試料は、ポナペ、パラオ島で分離した海洋糸状菌のうち、厳選した594株を新たに2種類の液体倍地で6日間振とう培養して調整した。その結果、5株の培養液が非常に強い阻害活性を示したため、ジャーによる大量培養を行い、生物活性物質の分離を進めている。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)