Na^+/H^+イオン逆輸送担体の構造・機能と制御の多様性と統一性
Project/Area Number |
08268234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金澤 浩 岡山大学, 工学部, 教授 (50116448)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | Na^+ / H^+逆輸送系 / イオン輸送の分子機構 / Two-hybrid法による遺伝子クローン化 / カルシュウム結合性タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では細胞内におけるpH調節を含むイオン環境維持に極めて重要な役割を有し、生物界に広く存在するNa^+/H^+逆輸送担体蛋白質の構造と機能・制御の分子レベルでの理解を目指した。この輸送担体は特徴的な構造を有している。すなわち高等真核生物および原核生物を通じて10回内外の細胞膜貫通部分が存在する。一方高等真核生物では細胞膜ドメインに加えて細胞質に突出した部分が存在する。一次構造上は原核生物と真核生物で相同性はほとんどなく多様である。このような多様な構造がどのように機能と制御に関わっているのか、構造と機能の協関を明らかにする事が本研究の目的である。現在、次の3点に焦点をあてて研究を展開している。 (1)大腸菌NhaA蛋白質の機能に必須な残基の同定:イオン輸送に関わる構造と機能の多様性と統一性を理解する第一歩として、細胞質ドメインを有さない、分子遺伝学的アプローチの簡単な大腸菌を材料として、Na+/H+逆輸送蛋白質NhaAの機能欠損変異株を分離し変異残基の同定、変異に伴う機能変換の解析から機能に必須な6残基を見いだした。特に133,163,164残基目のAspの重要性を見いだした。また、73と225残基目がH^+センサーとして機能する事を明らかにした。このほか7残基についても機能またはアセンブリーに重要であることを見いだした。この知見に基づきイオン輸送の経路となる残基の一旦を推定できた。現在この蛋白質の膜中でのトポロジーを解析中である。(2)ラットNHE1およびNHE3の細胞質ドメインに結合する蛋白質遺伝子のクローン化:ラットのNa^+/H^+逆輸送系のアイソフォームであるNHE1およびNHE3は細胞質に突出した部分を有し、細胞増殖シグナルによる活性発現制御を受けている。この制御機構を解明する一環としてこれらの逆輸送蛋白質の細胞質ドメインに結合する蛋白を蛋白質-蛋白質相互作用を指標に検索し、2種の蛋白質の存在を確認した。また酵母のTwo-hybrid法を用いて2種の新たな結合蛋白質の遺伝子のクローン化に成功し、CHP/No.18と名付けた。このうち1種は195残基からなる新規タンパク質であり、カルシニューリンBと高い相同性を有していた。現在これらの蛋白質の性質を解明するため、さらに一連の実験を行っている。(3)酵母(S.cerevisiae)の逆輸送蛋白質遺伝子の同定と機能解析:高等真核および原核生物の間に存在する下等真核生物のNa^+/H^+逆輸送蛋白質については遺伝子のクローン化が進んでおらず、多様性を理解する上で重要な対象と考えた。現在までにS.cerevisiaeの遺伝子を本年決定された全遺伝子塩基配列データバンクのなかから見出し、クローン化し構造を推定したところ、高等真核生物と同様細胞質ドメインを有しており、相同性は極めて低いことが見いだされた。すでにS.pombeでは細胞質を有さないNa^+/H^+逆輸送担体の存在があきらかだったので、進化上、酵母の近辺に細胞質を有するか否かの接点が存在すると考えられる。このような事実が制御の多様性と統一性にどのように関わっているのか明らかにするためには、さらに多くの下等真核生物の本逆輸送担体遺伝子のクローン化が必要であり、これを現在進めている。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)