神経可塑性におけるジアシル・グリセロールキナーゼ分子多様性の意義
Project/Area Number |
08270205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
近藤 尚武 東北大学, 医学部, 教授 (20004723)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | イアジルグリセロールキナーゼ / 分子多様性 / 核局在 / 脳 / 網膜 |
Research Abstract |
これまで申請者はCa関連シグナル伝達のシナプス可塑性への重要性を鑑みて,Ca関連セカンドメッセンジャーの一つであるジアシルグリセロール(DG)を燐酸化してホスファチジン酸(PA)に変えるDGキナーゼに注目してその脳内分子多様性を追求してきた.本年度はこれまで解明出来た3種のアイソザイムに加えて,IV型分子の全貌を明らかにすることが出来た.この新たに解明出来た分子はその分子量104kDaで,分子構造は以前の3種の異なりEF-handは持たずにC-terminalにankyrin-構造を持っている.この構造は既に報告されているDrosophila網膜特異的DGキナーゼ(rdgA)に類似している.しかし,このIV型は網膜より胸腺と脳にはるかに強く発現している.網膜では内顆粒層の細胞に発現局在して視細胞での有意な発現は認められないので,相同分子が動物種により異なる機能を担うことが示唆された.脳では全灰白質に広く発現し,特に小脳プルキニエ細胞,海馬錐体細胞と歯状回顆粒細胞および嗅球顆粒細胞に強い発現が認められた.また,この分子構造に核移行シグナルを持ち,培養細胞への強制発現によりその翻訳産物は核に局在した.したがって,このIV型DGキナーゼは上記ニューロンでの核内転写翻訳調節に深く関与し,それがシナプス可塑性さらに記憶等の機構に連なることが考えられた.加えて米国ワシントン大学化学のGlomset教授と共同研究により,アラキシドン酸特異的DGキナーゼ分子(V型)の全貌解明にも専念している.この分子はPI特異的DG(他の3種と異なり,分子内にアラキドン酸を含む)のみを基質とする.因みに他の3種のDGキナーゼはPIだけでなくホスファチジルコリンの代謝によるDGをも基質とする.したがってニューロンでのPI代謝を知るには必須の分子である.分子構造が判明し,特異抗体を作製したので,この分子の脳内局在の免疫細胞化学的解析を遂行中である.
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)