ガングリオシド合成酵素遺伝子の操作による可塑性の機構解析
Project/Area Number |
08270235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
古川 鋼一 長崎大学, 医学部, 助教授 (80211530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 敏 長崎大学, 歯学部, 助手 (30264253)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ガングリオシド / ターゲッティング / 糖転移酵素 / 脳 |
Research Abstract |
1、作製したGM2/GD2合成酵素遺伝子ノックアウトマウスの脳神経系の異常につき解析を進めた。 (1)まず、おおまかな観察では行動の異常を認めなかったが、ステップダウンテストやロータロッドテストなどにおいて顕著な低下を認め、記憶・学習機能の障害が示唆された。 (2)また、神経伝達速度を比較検討するため、somatosensory evoked potentialを測定したところ、アキレン腱刺激の頭頂部までの伝達において明らかな遅延が認められ、シナプスにおける刺激伝達に何らかの障害があることが示唆された。 2、ラット褐色細胞腫P-C12に2種のガングリオシド合成酵素遺伝子を各々導入したトランスフェクタントを用いて、糖鎖発現の変化と神経細胞増殖と分化の機構を検討した。 (1)細胞形態では、neo耐性遺伝子のみを導入したコントロール株は親株と同様に円形〜楕円形であったが、GM2/GD2合成酵素遺伝子導入細胞はやや角張った形態を示した。一方、GD3合成酵素遺伝子の導入株は形態学的にはほとんど変化を認めなかった。 (2)増殖速度および神経成長因子(NGF)による神経突起伸長反応の変化を検討では、GM2/GD2合成酵素遺伝子導入細胞はコントロール株よりも3〜5倍速い増殖を示し、NGFに対する反応においては、より強い突起伸長反応を示した。GD3合成酵素遺伝子の導入株はコントロールの約8〜10倍の増殖を示し,NGF刺激に対して突起の伸長反応が全く見られなかった。このGD3合成酵素遺伝子の導入株では、NGF刺激時の受容体Trkはコントロールと異なり無刺激でもリン酸化を認めたが、NGFによる上昇を認めなかった。 以上より、複合型ガングリオシド糖鎖の変化が、神経機能や細胞内の増殖・分化関連遺伝子に大きな変化をもたらすこと、また、Trkなどのシグナル伝達に関わる諸分子が、糖鎖によって制御されていることが示された。今後、ガングリオシドと機能的および物理的に関連する細胞分子の同定と相互作用につき検討を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)