長期記憶の成立に伴い発現誘導される遺伝子群の探索と機能
Project/Area Number |
08271102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
井上 真紀 麻布大学, 獣医学部, 講師 (90247304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井ノ口 馨 三菱化学, 生命化学研究所, 主任研究員
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 長期記憶 / 遺伝子調節 / 海馬 / 長期増強 / アンチセンスDNA / カルシニューリン |
Research Abstract |
1、海馬のニューロンの活動(痙攣)にともない発現が誘導される遺伝子を探索し、多くの新規遺伝子を得た。これらのうちの一つTi3遺伝子の一時構造を決定した。Ti3 mRNAは、ラットの歯状回LTPにともない歯状回の顆粒細胞において発現誘導された。この誘導はNMDA型グルタミン酸受容体の活性化を必要とすることから、Ti3の誘導とシナプス伝達の可塑的な増強の間に強い相関があることが明らかとなった。発生期の海馬歯状回におけるTi3 mRNAの発現は、E20からP21の間で認められた。この時期はシナプス結合の形成の盛んな時期と一致しており、Ti3タンパク質が幼弱期の神経回路網の形成に関わる可能性を示唆している。 2、カルシニューリンは、Ca^<++>/カルモデュリン依存性のタンパク質脱リン酸化酵素である。シナプス可塑性の調節におけるカルシニューリンの役割を調べた。海馬近傍の側脳室にカニューレを植え込み、ミニ浸透圧ポンプによってカルシニューリンの触媒サブユニットを標的としたアンチセンスDNAを1週間連続投与した。海馬のカルシニューリンタンパク質量は、アンチセンス投与群ではスクランブルDNA投与群に比べ55-67%に減少していた。これらのラットを用いLTP実験を行なった。海馬CA3に閾値以下のテタヌス刺激を与え、対側のCA1から記録をとると、スクランブル群ではLTPが起こらなかったのに対し、アンチセンス投与群では長時間持続するLTPを再現性良く観察することができた。この結果は、カルシニューリンがLTPの誘導を抑制する作用を持つことを示している。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)