Project/Area Number |
08271235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 遺伝子, 教授 (00135691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 吉博 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60230108)
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (50264875)
刀祢 重信 東京都臨床医学総合研究所放射線医学研究部門, 主任研究員 (70211399)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 大脳皮質視覚野 / 暗所飼育 / 直早期遺伝子 / c-fos / Zif268 / ラット |
Research Abstract |
視覚刺激が大脳皮質視覚野の神経回路形成に重要な役割を果たしていることはよく知られている。視覚刺激によりその発現が制御されているimmediate early genes (IEGs)が、視覚野の回路形成に果たしている役割を明らかにするのが本研究の目的である。今年度は、光刺激による大脳皮質視覚野におけるc-fosおよびzif268発現の特性について検討を加えた。 方法:SD系成熟雄ラットを以下の3群に分ける。(A) 7日間通常の環境で飼育する。(B) 7日間完全に遮光した環境で飼育する(Dark Rearing : DR)。(C) 7日間完全に遮光した環境で飼育した後、視覚刺激を行う(DR-light exposure)。A, C群は1時間視覚刺激を行った後、B群は視覚刺激を行わずに、潅流固定して脳を取り出し、免疫組織化学を施行した。視覚野におけるFosおよびZif268陽性細胞の他、CaMkinase II、phosphorylated CREBを組織の上で検出した。 結果:DR-light exposure群においては、視覚野のII〜IV層の細胞の核に強いFos蛋白およびZif268蛋白の発現が見られた。一方コントロール群では、Fos蛋白の発現は殆ど認められなかったが、Zif268蛋白の発現はDR-light exposure群と同様であった。DR群では、Fos蛋白、Zif268蛋白とも発現は見られなかった。CaMkinase IIおよびP-CREBの免疫活性はDR群で最も高く、コントロール群で最も低かった。 考察:以上の結果より、Zif268は、視覚刺激に対するニューロンの賦活を忠実に反映するが、c-fosはDR後の視覚刺激に対してのみ反応することがわかった。これは、CaMkinase IIなどのsecond messenger系がDRによって増加し、CREBのリン酸化を介してc-fos遺伝子の転写が活性化されるものと思われる。通常の12時間毎の明暗サイクルではsecond messenger系が十分に活性化されないため、1時間の視覚刺激によるFos発現が認められないのであろう。Zif268遺伝子の転写活性化機構は、先行する視覚刺激により影響されないため、常に視覚刺激に対する応答が可能であるものと思われる。今後、他のsecond messenger系やGAP43の動きも含めて視覚野における可塑性の分子メカニズムを明らかにしていきたい。
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