Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
シナプスの発生を制御する因子を同定するために、われわれはシナプスに異常がある突然変異株の分離を試みてきた。そのためにショウジョウバエを材料として運動回路に異常が生じた変異株の分離と解析をすすめ、その結果hig遺伝子を同定することに成功してきた。hig遺伝子は神経系の細胞で特異的に発現しており、また予想されるタンパク質は免疫グロブリンドメインと補体結合ドメインを持つことから、神経細胞間の認識において機能を持つことが予想された(Hoshino M.,Matsuzaki,F.,Nabeshima,Y.,and Hama,C.(1993). Neuron 10,395-407.)。 HIGタンパク質の作用部位を明らかにするため抗体を作成してその局在を調べてみると、興味深いことにHIGタンパク質はシナプス形成の初期より前シナプスから分泌されシナプス間隙に局在することがわかった。また、突然変異株にHIGタンパク質を一過的に強制発現させることにより、その機能がシナプス形成が盛んな時期に必要とされることがわかった。以上のことからHIGタンパク質はシナプス形成初期からシナプス間隙に局在してシナプス形成に関与することが示唆された。 シナプスの形成と分化に関わる因子はいまだわずかに見つかっただけであり、それらと構造的に全く異なるhigタンパク質の発見は、多様な性質を持つシナプスの分化を理解するうえで非常に重要であると言える。また、ニューロン間のシナプス間隙に局在するタンパク質として示されたのはhigタンパク質が初めての例であろう。
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