Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
受粉・受精過程の全体像を明らかにするため,発現量の少ない遺伝子も含め,生殖に関わる多くの遺伝子をクローニングし,解析することを第一の目的とした.また,自家不和合性に限らず,自家和合の場合においても自己の花粉を認識して花粉管の伸長を維持するための自他の認識反応が存在すると考えられるので,認識反応に直接的役割を担う可能性が高いreceptor kinaseを探索することを第二の目的とした. 自殖性であるイネを用いて,開花前日の雌しべ,花粉管が伸長中の開花中の雌しべ,受精前後の開花後2〜4時間目の雌しべ,開花後1日目の子房の4種類の材料から調整したcDNAをtemplateとして簡易differential display法を行った(Yoshida et al.1994).61種類のプライマーを検索し,開花中または開花後2〜4時間の雌しべに特異的なPCR断片18本をクローニングした.シークエンスを決定し,ホモロジー検索を行ったところ,Gタンパク質により活性化されたシグナル伝達への関与が指摘されているphospholipase Dや,signal peptide生成への関与の可能性があるsubtilisin様のserine proteaseや,β-glucosidaseなどと高いホモロジーを持つクローンが含まれることがわかった. また,上記4種類の材料を用いて,targeted differential display法を行ったところ,Arabidopsis(ARK1)やBrassica(SRK3)のreceptor kinaseと高いホモロジーを持つPCR断片をクローニングすることができた. 上述の4種類のクローンについて,開花前後の発現をinternalなprimerを設計してRT-PCRにより調べた.その結果,どのクローンも開花受粉により発現が誘導されること,温湯除雄により発芽能力を失なった花粉が付着した開花中の雌しべでの発現は一様に低いレベルに押さえられることから,これら4クローンの雌しべでの発現は,正常な花粉の発芽,侵入,伸長によって誘導された可能性が高いと考えられた.
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