細胞周期における核構造-染色体間のダイナミックスの解析
Project/Area Number |
08274214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
土屋 英子 広島大学, 工学部, 助教授 (90127671)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 核蛋白 / S. cerevisial / NPSL / 細胞周期 / 減数分裂 |
Research Abstract |
1.研究目的:出芽酵母のNpslpは分子量約160KのG2/M期の進行に必須な核蛋白である。本蛋白は、中央部分にヌクレオソームのリモデリングに働くことが明らかにされたSnf2pと相同性の高い領域を、C末部分にDNA結合能を示す領域を持つことから、我々は、本蛋白が、染色体の特定部位でのヌクレオソームのリモデリング、あるいはその他の核蛋白との相互作用を通じて、G2/M期に必須な機能を果たしていると予想している。本研究は、Npslpの機能解析、Npslpと相互作用する核蛋白の同定と機能解析、ならびにこれら蛋白の核内局在部位の視覚化とその細胞周期における動態を解析する事により、核構造と染色体間の機能的関連を理解するための手がかりを得る事を目的としている。2.研究成果:1)NPSI蛋白質の構造と機能の相関を明らかにするため、ヒドロキシルアミンを用いたin vitroの変異処理により、2つの温度感受性変異遺伝子、nps1-93、nps1-105を得た。Npslp中には活性に必須な2つのATP結合部位が存在するが、今回得られた変異は、nps1-93がN末側の、nps1-105がC末側のATP結合部位近傍のアミノ酸置換による点変異であった。nps1-105変異を持つ株に、nps1-93をプラスミドで導入すると温度感受性が相補されたことから各変異を含む機能領域は独立した機能を持つ可能性が示唆された。さらに、nps1-105変異株は準制限温度下で、微小微笑管重合阻害剤に特異的に感受性を示し、また、本変異株を制限温度処理すると染色体分配の精度が有為に低下したころから、Nps1pは核内微小管に関連した機能を持つことが予測された。現在、nps1-105変異株の温度感受性を抑圧する多コピーサプレッサー遺伝子10種を取得し、解析を進めている。2)昨年度遺伝学的手法により、NPS1と相互作用するものとして取得したNPS2は、分子量約180Kの核蛋白をコードしている。本遺伝子の破壊株について解析を行った結果、破壊株は高温処理や、DNAに損傷を与える処理に感受性を示し、また破壊株のホモ2倍体は胞子形性能を完全に欠いていた。この株を、胞子形成培値に移すと、減数第一第二分裂を終了した後、異常な微小管の形成とDNA領域の断片化、核の崩壊が起こって急速に死滅することが解った。従って、NPS2も安定な微小管構造の維持、あるいは染色体や核の高次構造の維持に重要な役割を持つものと考えられた。また、nps1-105とNPS2破壊の二重変異株では、制限温度の顕著な低下が観察され、両遺伝子の機能が、体細胞分裂期においても密接な関連を持つことが、確認された。現在、破壊株の減数分裂過程に於ける微細構造の変化を、電子顕微鏡によって追跡している。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)