Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
|
Research Abstract |
光合成・光化学系II反応中心のサブユニットの1つであるD1タンパク質は,そのC-末端に8〜16のアミノ酸よりなる延長部分を持つ前駆体として合成され,核支配のプロテアーゼの作用により成熟化する。本研究ではこの過程に関与するプロテアーゼをホウレンソウ葉緑体から純化することに成功し,そのアミノ酸配列情報に基づき,これをコードするcDNAの同定とその塩基配列の決定を行った。その結果,この酵素はN末に150のアミノ酸よりなる前配列を持ち,この部分は葉緑体包膜通過とチラコイド膜通過のシグナルとして機能するものであると推定された。ついで,この酵素遺伝子を大腸菌内での活性を持つ状態で大量発現する系を開発するとともに,His-tagを利用することによりその純化を可能にし,純化された酵素を用いて,基質認識機構や反応機構の解析を行った。その結果,この酵素は既知のプロテアーゼ阻害剤の阻害を受けないこと,また,その触媒する反応の最適pHが7.7と,その機能部位と考えられる葉緑体チラコイドルーメンのそれと大きく異なっていることなど,数多くの新知見がもたらされた。一方,これまでに行ったin vitroの解析を基礎に,クラミドモナスを用いて,基質であるD1タンパク質のプロセシング部位(Ala-344)のC-側に位置するアミノ酸の置換体(Ser,Phe,Cys,Gly,Val)をin vivoで作成し,その生存への効果を,混合培養系を用いて調べた結果,オリゴペプチドを用いて行った解析の結果が細胞の生存性にも反映することが確認された。
|