Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
シスタチン類の標的プロテアーゼに対する阻害機構を分子レベルで解明するため、ラット・シスタチンαの活性部位の検討を行った。シスタチンαの大腸菌による大量発現系を利用して第1ループの保存アミノ酸残基QVVAGの中央の54番V(バリン)に着目し,その疎水性側鎖を親水性側鎖,グルタミン酸,リジンに置換した変異体V54EおよびV54Kを調製した。精製した各変異体の諸性質を調べ野生型と比較した結果,野生型と殆んど変っていないことが判明した。これより,活性部位として重要であると推定されている第1ループの中で,54番残基に正,負の電荷を導入しても何ら影響を与えず,バリン残基と同等の崇高い側鎖が必要である可能性が示唆された。従って,グリシン残基などの置換変異体を調製することが計画されている。また,ヒト・シスタチンAについて,C-末端より,7,26および33残基を欠失させた各欠損変異体を調製し,C末端領域が立体構造の保持に重要な役割を果していると推定した。一方,シスタチン類は標的プロテアーゼとin vitroにおいて,非常に強く結合することにより,プロテアーゼ活性を疑似非可逆的に阻害する。しかし,インヒビターと標的プロテアーゼの複合体の存在を実証した研究は皆無である。そこで,ヒトシスタチンAの発現培養細胞のホモジェネートより顆粒画分を除いた上清液中に,シスタチンAとプロテアーゼの複合体の存在を調べるため,抗シスタチンA抗体沈降成分をイムノブロッティングした後,抗カテプシンB,HまたはL抗体によって解析した。現在までに,複合体の存在を示唆するデータは得られていないが,今後,複合体形成の検出最適条件などを見出すことを含め,種々詳細な検討を加える予定である。
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