思考、判断の基礎過程としての作業記憶の神経機構の研究
Project/Area Number |
08279225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船橋 新太郎 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (00145830)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 作業記憶 / 前頭連合野 / 遅延反応 / 相互相関 / 単一ニューロン活動 / サル |
Research Abstract |
作業記憶とはある課題の遂行に必要な情報を能動的に保持する機構であり、様々な認知活動の基礎的な過程であると考えられている。ある課題に必要な情報は作業記憶として保持されるが、同時に統合され操作が加えられる。作業記憶は情報の短期的な保持機構であると同時に、情報の選択、統合、操作を含む動的な情報処理機構であり、思考・判断などの認知機構の解明のためには、その動的な側面を明らかにする必要がある。本研究では、まず作業記憶に関与する神経回路とそこでの情報の流れを明らかにするため、眼球運動を使った遅延反応をサルに行わせ、前頭連合野からマルチプル・ニューロン活動を記録した。同一記録から複数の単一ニューロン活動を分離し、各ニューロンの機能や特徴を決定した後、ニューロン活動の相互相関分析を行った。133の活動記録より、166のニューロン・ペア-を得た。このうち39ペア-が共通入力関係を、43ペア-が連続入力関係を示した。共通入力関係にあるペア-では、同機能のペア-と異機能のペア-がほぼ同数見いだされ、両者の間で活動の選択性の有意な類似が見いだされた。一方、連続入力関係にあるペア-では、同機能のペア-が44%、異機能のペア-で課題の時間経過の方向に情報授受をするものが34%、逆方向のペア-が22%存在した。選択性の類似度は、両者が視覚応答をもつペア-で高いが、運動関連活動をもつペア-で低く、順行性の情報授受をするペア-では視覚応答をもつものから記憶関連活動をもつものへのペア-で類似度が高かった。逆行性の情報授受をするペア-では選択性の類似は有意ではなかった。このように、異機能のニューロン間で課題の進行に伴う情報授受が行われていること、情報の入力部では選択性の類似したニューロン間の相互作用が多く、出力部に近づくにつれ異機能や異なる選択性をもつニューロン間の相互作用が顕著になることが明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)