人工ニューラルネットによる記憶項目評価に基づく記憶の保持と忘却
Project/Area Number |
08279235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒木 秀一 九州工業大学, 工学部, 助教授 (40178124)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 記憶項目評価 / 競合ニューラルネット / 画像認識 / プラント制御 / 記憶の保持と忘却 |
Research Abstract |
脳が現実世界で合理的な記憶を行うには不必要な情報は忘却する必要がある.これは脳には個々の情報を評価しその評価値をもとに情報を保持あるいは忘却する記憶機構が必要であることを意味する.本研究ではこの見地から人工ニューラルネットを構成し,情報処理システムとしての脳の合理的な記憶原理を解明することを試み,以下の結果を得た. (1)競合ニューラルネットのセルに入力パタンだけでなく,その評価値として発火回数を記憶させ,各セルの発火回数を一致させる学習アルゴリズムを提案した.これにより入力パタンの分布に偏りがあってもその偏りに適応する記憶が形成され,より認識率の高い記憶が構成できることがわかった. (2)このネットを画像認識およびプラントの制御に応用し,以下の結果を得た.すなわち画像認識では回転パタンに対する汎化学習能力を調べたが,従来のトポロジカルマップや学習ベクトル量子化法より高い認識率を示した.制御においては線形,非線形プラントの逆ダイナミクス学習制御に応用した.従来の誤差逆伝播法ではステップ状に急激に変化する目標軌道に対してうまく追従させることができなかったが,本ネットを使うと初期振動は出たが最終的に目標軌道に追従させることができた. 従来の人工ニューラルネットにおいては記憶の評価基準としてネット全体の誤差関数を考え,これを最小にするように記憶全体を更新する.しかし画像認識や制御などのより複雑な記憶を必要とする場合より細かな評価関数が必要となる.本ネットがよい結果を示したのは個々の記憶項目の評価値に基づいて記憶の保持と忘却を行ったからであると考えられる.現在,この記憶過程の統計的解析が進展しており,高い認識率を達成する理論的裏付けができつつある.今後は,さらに解析を進めるとともに,生体の脳の短期記憶や長期記憶との対応についても検討していく予定である.
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)