動的リンキングを基礎とした認知記憶生成の理論的研究
Project/Area Number |
08279243
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
山口 陽子 東京電機大学, 理工学部, 教授 (00158122)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 海馬 / シ-タリズム / 記憶 / 場所ユニット / 動的リンキング / 神経振動子 / 同期 |
Research Abstract |
海馬に担われると考えられるコンテキスト情報と新皮質に担われると考えられる個別情報とが相互依存的生成する過程を非線形ダイナミックスとしての動的リンキングの仮説に基づいて研究し、以下の結果をえた。 1)振動神経回路の設計の上で操作性をあげるために、位相神経素子結合系としての神経回路の性質を解析した。自己相関行列を結合行列として記憶ベクトルを埋め込んだ場合、固定点は記憶の正確な想起を、リミットサイクルは記憶とバイアス入力との相関による新たなアトラクターの生成を担うことがわかった。 2)海馬の場所ユニットのシ-タリズムでの位相歳差:海馬場所ユニットの活動はシ-タリズムに対する位相が、ラットの移動に伴って連続的にシフトすることが報告されている。われわれは、このような位相歳差が、海馬内の認知地図をコードする神経回路の構造に由来すると考えて、海馬CA3部分について再帰結合をもつ神経回路を位相神経素子で構成し、歳差を再現する条件を検討した。その結果、回路内の波動伝播活動とそれに対するシ-タリズムからの境界条件の制御として実験のような活動が再構築できた。 3)新皮質系の知覚情報処理部としての回路をさぐるために聴覚神経回路について、音声情報の特徴抽出と特徴の結合の様式について検討した。われわれのモデルは神経振動子をコラムユニットとして結合した2次元神経回路であり、皮質上での伝播活動を再現するものである。同モデルで時間変動する外部入力は、皮質上の波動の伝播軌跡として実現され、その波動の非線形特性により、特徴が抽出されたり、結合されたりする。ここで、特徴の結合は波動の伝播の同期として現れ、動的リンキングの機構として、これまでの振動の同期の他に波動の伝播の同期の重要性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)