Project/Area Number |
08279245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 繁 理化学研究所, 脳回路モデル研究チーム, チームリーダー (70281706)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1996: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 視角野 / 神経ダイナミクス / トポロジー / 運動方向選択性 / 皮質マップ |
Research Abstract |
第一次視覚野には、どちらの眼球から入力してきた情報かに応じて眼優位性マップがあり、それと重畳して視覚像の輪郭線の傾きをコードする方位選択性マップが存在することが知られており、静的な情報をコードするものと考えられる。一方、動的な情報は運動方向選択性マップによって表現されていることが期待される。そこで、本年度は感覚情報処理のダイナミクスを研究する基礎固めとして、視覚像の運動方向に関するマップにみられる不連続線と方位マップにみられる特異点の関係をトポロジー論の立場からの解析を試みた。 マップのトポロジーを解析するためには、まず特徴量が張る空間(特徴空間)のトポロジーを調べる必要がある。そこで、方位選択的でかつ運動方向選択的な単純型細胞の受容野プロファイルとして、時間に依存するガボール関数を採用した。さらに、方位と位相と運動方向が皮質上にほとんどいたるところ連続的にマップされていると仮定し、それらの特徴空間に対しホモトピー論を適用すれば、運動方向の不連続性は皮質上で曲線として現れ、必ず方位中心から始まって方位中心に終わり、ひとつの方位中心には奇数本の不連続線が終始することが導かれる。しかしながら、ガボール関数によって表現された運動方向には、方位に対して平行な成分に関する不定性が残るため、不連続線はトポロジカルには安定な欠陥ではあり得なくなり、方位に対して平行な無限小の運動方向の成分を加えることによって不連続線を消去することが可能となる。すなわち、不連続線は方位中心以外の点で止まることが許される。最近報告されているネコ18野の方位・運動方向のマップでは、運動方向の不連続線は方位中心から1本ないし3本生じており、基本的には方位中心どうしを結んでいるが、不連続線が方位中心以外の点で消え去る例も示されており、上記の理論的考察と符号する。
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