B細胞抗原受容体を介する情報伝達と免疫疾患発症の分子機構
Project/Area Number |
08282209
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅森 久視 東京大学, 医科学研究所, 助手 (20242117)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40134621)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
|
Keywords | Lynチロシンキナーゼ / ノックアウトマウス / 自己免疫疾患 / B細胞抗原受容体 / FcγRII / マスト細胞 / FcεRI / シグナル伝達 |
Research Abstract |
免疫担当細胞は、抗原受容体を介したシグナルにより活性化、増殖、分化、不応化、アポトーシスなどの反応を示す。我々は、Lynチロシンキナーゼが抗原受容体と機能的な複合体を形成しており、Lyn欠損マウスが自己免疫疾患様症状を表わすことを示してきた。本研究では、Lynを介した細胞内情報伝達系の解析を通し、免疫病発症の原因解明につなげていきたい。本年度はLynの機能を、B細胞とマスト細胞の活性化とその抑制のシグナルに焦点を当てて解析を行った。 1、B細胞の活性化とその抑制におけるLynの役割 Lyn欠損B細胞は刺激に対する増殖能が低いのに、抗原を免疫したLyn欠損マウスは野生型より多くの抗体を産生したことから、Lyn欠損B細胞はその活性制御機構にも異常があると考えた。そこでB細胞抗原受容体からの活性化に対し、FcγRIIを架橋してB細胞の増殖を抑制する刺激を行ったが、Lyn欠損B細胞では増殖抑制がかからず、また、抑制シグナルに重要なFcγRIIのチロシンリン酸化や、チロシンフォスファターゼPTPlCとFcγRIIとの結合が見られなかった。よって、LynはB細胞抗原受容体を介した正のシグナルに加えFcγRIIを介した負のシグナルにも重要で、Lyn欠損マウスはB細胞の活性化に抑制がかかりにくいため多くの抗体を産生すると考えられた。 2、マスト細胞の活性化におけるLynの役割 Lynが高発現しているマスト細胞上のFcεRIを刺激してLyn欠損の影響を調べた。その結果、FcεRI架橋によって生じる蛋白質チロシンリン酸化や細胞内Ca2+濃度の上昇はLyn欠損によって著しく阻害されており、Lynがマスト細胞の活性化にも重要な働きをしていることが示された。 以上のように、Lynは、B細胞やマスト細胞において、活性化とその抑制のシグナルに重要な役割を担っていることが示された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)