Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
イムノグロブリン・スーパーファミリーに属する分子などの細胞内領域にimmunoreceptor tyrosine-based activation motif (ITAM)と呼ばれるアミノ酸配列が存在する場合,このモチーフはチロシンキナーゼの基質となることでその後の細胞活性化シグナリングに重要な役割を演じる.最近,ITAMのコア配列であるYXXL/Iに類する配列を有し,かつ細胞内シグナリングに抑制的にはたらくモチーフであるITIMおよびその抑制メカニズムが注目されている.ITIMを持つ分子としてこれまでNKレセプター,CD22,Fcレセプター(FcR),CTLA-4などが知られているが,これまでの知見ではITIMは,ITAMと同様にチロシンキナーゼによりリン酸化されたのち細胞内の脱リン酸化酵素SHP-1やSHIPとアソシエ-トすることで抑制機能を発揮するらしい.これまで本研究者はITAMを持つFcRγ鎖のノックアウトおよびITIMを持つFcγRIIBのノックアウトマウスを作成し,これらの免疫機能を解析した.FcRはこれまで,液性免疫と細胞性免疫の調節因子としての役割や,炎症・アレルギーとの関係を中心にその機能の解析が進められてきたが,FcRγ鎖ノックアウトマウスではマクロファージの貧食機能が消失するなど,種々のエフェクター機能が消失し,炎症の開始機構においてFcεRIやFcγRIIIが中心的役割を担っていることが示された.逆にFcγRIIBノックアウトマウスにおいては抗体応答や貧食機能に亢進が見られ,更にIgGを介するアナフィラキシ-や接触過敏症反応,コラーゲン関節炎などが野生型マウスに比べ強く現れることを観察した.即ち,免疫システムの抑制機構としてFcγRIIBを介する経路が存在することが示された.よって生体は,IgG免疫複合体とFcγRによる,免疫系を活性化あるいは抑制する巧妙な調節システムを備えていると理解できる.
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