Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸井 英明 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 助教授 (10219545)
佐藤 修 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 教授 (00022624)
北沢 秋司 信州大学, 農学部, 教授 (40021084)
橋本 晴行 九州大学, 工学部, 助教授 (70117216)
諏訪 浩 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00093253)
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Research Abstract |
1996年12月6日午前10時50分頃,長野県北安曇郡小谷村湯原の姫川支流蒲原沢で土石流が発生し,国道148号線国界橋付近で作業していた建設会社作業員14人が行方不明となる災害が発生した.これまでの調査研究結果の概要は以下の通りである. 土石流が発生した蒲原沢は,平均傾斜20°の急傾斜の渓流である.その地質概要は,姫川との合流点付近は古生界の砂岩・頁岩・チャートであり,少し沢を上ると蛇紋岩が露出する.沢の中流域には来馬層群と呼ばれるジュラ紀の礫岩・泥岩・砂岩の互層が分布する.上流部は第四紀の風吹火山噴出物で覆われている.土石流の発端となった崩壊は,姫川との合流点より約2.7km上流の標高1300mの地点で発生している.その規模は,長さ120m,幅60m,最大深さ20mに達し,崩壊土量は約33,000m^3である.このうち13,000m^3が流出せずに渓岸に残存している. 土石流による堆積土砂量は,沢の出口及び姫川で約24,000m^3と算定される.土石流の偏流から推定される第一波土石流の流速は7m/s程度であり,ピーク流量は200〜500m^3/sとみられる.土石流の前,土石流時,土石流後の蒲原沢の水の化学分析結果より,土石流発生時には硫酸カルシウムを主成分とする火山噴出物中の地下水が多量に供給されたことが明らかである. 土石流発生前日の気象を検討した結果,熱収支法による計算では,融雪水量は30mmである.しかし,降雨量は,新潟県側の姫川左岸では,標高によって急激に増加している.崩壊発生源付近では,100mm以上の局地的に大雨があったことが推定される.これに融雪量30mmを加えると,130mm以上の水量が地表に供給されたと推測される.
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