Project/Area Number |
08610190
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
嘉目 克彦 大分大学, 経済学部, 教授 (50117412)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1996: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 自覚的な自己統御 / 生価値 / 意味適合性 |
Research Abstract |
今回の研究では、就任講演『国民国家と経済政策』以前のウェーバーの社会政策的論説を分析し、彼の批判的判断の論理構造を明らかにしようと試みた。資料としてはドイツの『社会政策学会』と『福音社会会議』におけるドイツの農業労働者問題に関するウェーバーの多様な討論演説と論説を利用したが、その中には『国民国家と経済政策』の原型ともいうべき論説も含まれており、彼の特徴的な判断形式の初期形態を窺うのに格好のテクスト群である。研究成果を要約すれば以下のとおりである。 1. 社会政策の実践的課題は特定の価値ないし理想に関する何らかの判断に基づいて設定される。ヴェーバーは社会政策学会において一方では労働者の「保護」、他方では「生産性」向上の諸観点が、また福音社会会議では「幸福の量」の増大という価値観点がそれぞれ問題設定の前提として無意識のうちに選択されていることを明らかにし、これらの価値観点を労働者の「自己責任」と「向上心」の涵養という観点から批判した。 2. ヴェーバーにとって「自覚的な自己統御」こそ自己責任と向上心の大前提であり、この前提が成立し得るためには「価値」および「存在」に関する「判断」(「直感」ではなく)が不可欠だと見なされているが、ここでは判断の「範疇」ではなく、その「構造」が重要である。 3. 「魂」によって選択された最高究極の「生価値」との「関係付け」によって「生」と「世界」の「意味」が発生する。その意味との「適合性」(「意味適合」を追求し、それを堅持しようとすることによって行為と生活態度全体の一貫性ないしは「統一性」が保たれ、「自覚的な自己統御」が可能となる。 4. ヴェーバーの場合、「判断」とは自己の生の統一性を維持しようとする「精神の働き」である。
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