「差異への権利」はどこまで認められるか? -多文化時代の法秩序を求めて-
Project/Area Number |
08620001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Fundamental law
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 晃 北海道大学, 法学部, 教授 (90164813)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1996: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 差異への権利 / 正義 / 自由 / 平等 / アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究においては、まず「差異への権利」に関わる種々の具体的ケース、とりわけ伝統的生活様式や言語使用などに対する寛容の根拠と限界の問題、歴史的不正や差別是正のための積極的優遇措置や逆差別の正当性の問題、あるいは自我あるいはアイデンティティと社会秩序の関係の問題などに関わるケースについて調査し、それらの問題の性質に応じて類型別に整理することを試みた。ここでは、この種の権利について大きな動きがある、カナダ、オーストラリア、そしてアメリカの場合を見た。さらに、これらのケースについては、特にその集団の歴史的事情との関連において、その議論の構造を探った。これは、規範的な議論の背景にある事実との連動を明確にして、「差異への権利」に関わる人々の価値観の基本構造を探るためであるが、そこでは基本的に、個人の自立と自由、その背景を支える集団的アイデンティティ、そしてそれらを構造的に取り巻いている社会的問題文脈の間の相互緊張関係を明確化することが重要であることが確認された。それを承けて、次には、そこにおいて対立し合っている自由や平等といった個人主義的要求と、集団や文化の自律という集団的要求との理念的な統合の可能性を分析することを試みた。その場合、申請者が以前から行なってきた現代正義論の研究を敷衍して、自由と平等それぞれの要求を人間の活動局面と活動領域とにおける保障の態様という枠組みを用いて統一的な価値構造の内で理解し、二つの理念の対立の構造を<正義としての公正>という観念によって理論的に明確にすることを試みた。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)